研究概要 |
1:clv2エンハンサー突然変異体について、次世代シーケンサーを用いた原因遺伝子の単離を行った。その結果、#12-2,#16-1,#16-3について、BAM1遺伝子エキソン内にアミノ酸置換を伴う変異を見いだした。また、タグライン(単独突然変異体)もペプチド耐性を示した。さらに、bam1 rpk2二重突然変異体はbam1やrpk2単独突然変異体よりも、強いペプチド耐性を示したことから、BAM1,CLV2,RPK2は独立に根端分裂組織の維持に関わることが示唆された。また、根端領域においてCLV1は機能していないことが示唆されることから、地上部と地下部で、CLV1,BAM1がそれぞれ使い分けられていることが明らかとなった。BAM1はCLV1と最も相同性が高く、ロイシンリッチリピート・受容体様キナーゼをコードしている。また、BAM1は、CLEペプチドと直接結合することが生化学的実験によって明らかにされている。そのことを考慮すると、BAM1は、根で根端分裂組織の活性を制御するペプチドホルモンの受容体として機能することが考えられた。 2:CLV3ペプチド耐性突然変異体の原因遺伝子として、PUB4を単離した。PUB4はユビキチンリガーゼをコードすることから、CLVシグナル伝達系にはタンパク質分解系が関わることが示唆された。現在PUB4のターゲットは明らかになっていないが、CLEシグナル伝達系の受容体や、CLV3シグナル伝達系を抑制的に支配する蛋白質脱リン酸化酵素などがよい候補として考えられた。
|