研究領域 | 生殖系列の世代サイクルとエピゲノムネットワーク |
研究課題/領域番号 |
23013004
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研究種目 |
特定領域研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 (2012) 秋田大学 (2011) |
研究代表者 |
河村 和弘 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 准教授 (10344756)
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研究分担者 |
藤本 俊郎 秋田大学, 医学系研究科, 准教授 (20375249)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
6,100千円 (直接経費: 6,100千円)
2012年度: 3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2011年度: 3,000千円 (直接経費: 3,000千円)
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キーワード | 原始卵胞 / 卵巣 / 卵胞発育 / 組織培養 / 卵巣凍結 |
研究概要 |
本研究では、休眠原始卵胞の人為的活性化技術を用いて、ヒト卵胞発育制御因子の解明し、卵巣-卵胞組織培養による体外卵胞発育法を確立することを最終目的としている。昨年度はヒト休眠原始卵胞の活性化技術の改良を行った。その技術を元に、活性化された原始卵胞の発育をさらに促進する因子の探索を行った。2つの初期卵胞発育を促進する新規因子を同定し、2次卵胞の発育を促進する因子としてC-type natriuretic peptide(CNP)、1次卵胞の発育を促進する因子としてR-spondin2を報告した。まだ全ての新規卵胞発育制御因子の候補因子の解析は終了していないため、in vitroでヒト原始卵胞から成熟卵を作出は継続課題とし、休眠原始卵胞の人為的活性化技術の臨床応用を進めた。マウス・サルを用いた動物実験の結果、本技術を用いて産出した卵子の正常性が十分に確認されたため、当大学ならびに日本産婦人科学会の倫理委員会の承認を受けて臨床応用を開始した。卵巣内の残存卵胞が激減し、卵胞活性化・発育がおこらず不妊となる早発卵巣機能不全という疾患があるが、本疾患の確立された不妊治療は提供卵子を用いた体外受精胚移植のみであり、自らの卵子で妊娠することは非常に難しい。我々の休眠原始卵胞の人為的活性化技術を応用すれば、早発卵巣機能不全患者の残存卵胞を活性化することが可能となり、新たな不妊治療法となることが期待される。実際臨床応用により、早発卵巣機能不全患者の残存卵胞の活性化に成功し、複数の患者で成熟した卵子を採取することに成功した。現在詳細を論文にまとめ投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒト卵胞発育機構の解明のための一連の研究の結果、新たに2つの卵胞発育を制御する因子を同定し、その卵胞発育における役割を明らかにした。本研究の最終目的である、休眠原始卵胞の人為的活性化技術を用いて、ヒト卵巣組織培養による体外卵胞発育法を確立し、in vitroでヒト原始卵胞から成熟卵を作出することは達成できなかったが。卵胞活性化技術を臨床応用し、早発卵巣機能不全患者の不妊治療を開始することができた。
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今後の研究の推進方策 |
我々は休眠原始卵胞の人為的活性化技術を、当大学および日本産婦人科学会のIRB承認を受け、実際に早発卵巣機能不全患者の不妊治療に臨床応用することを既に開始している。臨床応用に際してはいくつかの課題があり、それを克服することでさらなる臨床成績向上が期待できる。今後は、その臨床成績を更に改善すべく、種々の研究計画を予定している。また、in vitroでヒト原始卵胞から成熟卵を作出する研究計画に関しても、まだ機能解析が終了していない卵胞発育制御因子の候補因子があり、当初の最終研究目標が達成できるよう研究を進める。
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