配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2012年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2011年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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研究実績の概要 |
βパイロクロア酸化物超伝導体AOs2O6(A=K, Rb, Csに対しTc=9.6, 6.3, 3.3 K)においては、OsO6の作るかごの中のアルカリ原子のラットリングが超伝導クーパー対を作る引力の起源となっていることが、物性研廣井らのこれまでの系統的な研究から明らかになっている。殊に、KOs2O6では、電子比熱係数から見積もられる多体効果による質量増強因子λが約6と極めて大きく、超伝導転移に伴う比熱の大きな飛びなどから極めて強結合の超伝導が実現していることが明らかになっており、その電子状態は大変興味深い。我々は、昨年度KOs2O6のdHvA振動の測定に成功し、フェルミ面を完全に決定し、また多体効果による質量増強がλ=5--8であり、電子格子相互作用によるものとしては異常に大きいことを示した。A=Rb, Csにおいても高圧下においてはTcがA=K並みに増大することが知られており、その電子状態の変化を調べることはたいへん興味深い。そこで、今年度はA=Csについて26.4 kbarの高圧までdHvA振動測定を行った。CsOs2O6のフェルミ面は以前の我々のdHvA測定で完全に決まっている。圧力印加によりTcは従来の報告と同程度の増大を示した。dHvAデータの詳細な解析はまだ行っていないが、有効質量も若干増大しているようである。上部臨界磁場の解析おもあわせて行い、結合係数λの圧力変化を考えたい。
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