配分額 *注記 |
8,060千円 (直接経費: 6,200千円、間接経費: 1,860千円)
2012年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2011年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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研究実績の概要 |
平成23年度の「補強された平面波基底とマフィンティン基底関数を同時に用いるバンド計算の方法(PMT法)」を受けて、平成24年度においては、準粒子自己無撞着GW法(QSGW法)を、このPMT法を用いて行うことができる方法を開発した(PMT-QSGW法)。従来のQSGW法の実装は、MTO基底のみを用いていたため、面倒で経験を要する収束確認の作業が必要であった。今年度、新たに開発したPMTを用いたPMT-QSGW法においては、これらのかなりの部分を本質的に改善した。この際、キーとなるのは、局在化基底(マフィンティン基底=MTO基底)を用いて自己エネルギー項を展開する手法がうまく働くことを見出したことである。また、さらに「対称性を用いた高速化、異方性の精度の高い取扱い、MPI並列化」なども行った。このPMT-QSGW法は、従来法に比してはるかに扱いが容易であり、誰でも安定かつ信頼性の高い結果を得ることができる。それで、コードやマニュアルなどを整備し、大阪大学が中心となり行われているプログラム公開セミナーであるCMDワークショップにも2013年3月春季から参画しプログラムのチュートリアルを行った。プログラムはecaljパッケージとして、https://github.com/tkotani/ecaljで公開している。 この新手法のテストも兼ねて以下のような物質群に適用し有意な結果を得た。1.高圧化の金属化が問題となる物質であるYH3やI2、2.触媒としての重要物質であるPdOやPtO, 3.太陽電池向けのCIGS代替材料CuAB2(A=Al, Ga, In, B=S, Se)、などである。これらは従来手法では扱いが困難であった系であり、QSGW法の適用によって実験と対応するようなエネルギーバンド構造を得ることができた。 今後、方法論や上述の応用に関する成果を論文に取りまとめる。
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