公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
バンド絶縁体、モット絶縁体ならびに両者の境界近傍に位置する半導体において、その光歴状態と生成される電子・正孔の動的相関効果を理論的に明らかにすることを目的とした。平成24年度は特に以下の研究を行った。[1] バンド絶縁体・モット絶縁体境界近傍における光励起とスピン転移光により生成された少数の電子・正孔対状態の構造、これにより誘起される新たな磁気構造を明らかにすることを目的とした。ここでは準位差のある拡張された二軌道はバード模型を解析した。手法として、有限サイズクラスターにおけるランチョス法、ならびに空間的な不均一を記述するための非制限ハートリー法を用いた実時間シミュレーション法を用いた。これにより以下のことが明らかとなった。(1)低スピン状態における光照射によりスピン転移現象が生じるが、これは光により生成された電子とホールが再結合することで生成され、この時間スケールは電子の遷移積分により支配される。(2)光照射により低スピンから高スピンへのスピン転移が生じる際、電子状態密度にギャップない構造が生じる。(3)上記の機構と比較して、相対論的スピン軌道相互作用はスピン転移に対して大きな寄与をせず、その時間スケールも遅いことが示された。[2] 反強磁性モット絶縁体における動的キャリアの効果反強磁性長距離秩序の存在するモット絶縁体において、光により導入された動的なホールキャリアの振る舞いについて調べた。ここでは高温超伝導の電子状態をよく記述する模型として知られるtJ模型を出発点として、非平衡グリーン解析と自己無撞着ボルン近似に基づいた実時間電子励起スペクトル、光学電気伝導スペクトルの定式化を行った。キャリアの導入により時間の経過とともにドル―デ成分に加えてインコヒーレント成分が出現することが示され、これを反強磁性マグノンの衣をまとったキャリアの動的な性質として解釈を行った。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2013 2012 2011
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (8件) (うち招待講演 4件)
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Journal of Physical Society of Japan
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J.Phys. : Conf.Ser.
巻: 320