配分額 *注記 |
5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2012年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2011年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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研究実績の概要 |
本研究は、様々なカルボニル化合物の触媒的酸化反応と共役付加との連続反応を行うことで、カルボニル化合物の新規分子変換を開発することを目的としている。特に、カルボニル化合物のδ位において結合形成するような反応はこれまでに知られておらず、そのような反応の開発を目指している。通常、α,β,γ,δ-不飽和カルボニル化合物へ求核剤を1,6-付加させることで、δ位に官能基を導入することができる。しかし、α,β,γ,δ-不飽和カルボニル化合物は入手容易ではないため、新たな合成法の開発が望まれている。昨年度は、β,γ-不飽和ケトンとアミンの反応を、パラジウム触媒存在下、アリル炭酸メチルを酸化剤として用いることで、触媒的酸化/1,6-付加を経て、カルボニルに対してδ位で炭素-窒素結合を形成する手法を開発した。本年度は、β,γ-不飽和ケトンよりも入手容易で安価な飽和ケトンを原料に用い、そのδ位でアミノ化する反応を開発した。その結果、酢酸パラジウムおよびDMAPを触媒に用い、アリル炭酸メチルおよびフッ化セシウムを共存させ、160度で反応させた時、δ位がアミノ化されたα,β,γ,δ-不飽和ケトンを高収率で得ることに成功した。この反応後の溶液にPd/Cを加え、水素雰囲気下で処理することで、ジエン部位を選択的に還元することができ、δ-アミノケトンへ変換された。この一連の分子変換は、ワンポットで実施することができ、ブチルケトンの末端炭素-水素結合を炭素-窒素結合に変換できた。この触媒的脱水素化を経るδ位アミノ化反応は、様々な基質に適用できた。ケトン以外に飽和ニトリルにも適用でき、対応するδ-アミノ-α,β,γ,δ-不飽和ニトリルを与えた。また、窒素求核剤だけでなく炭素求核剤を用いることもできた。
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