公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
安定同位体標識のアルファーシヌクレインを作成し、シグナル帰属のための3次元NMRと、アミドプロトンと水との交換が測定できるCLEANEX-PMを測定した。シグナル帰属の結果に基づいて、CLEANEX-PMを解析した。天然変性蛋白質であるアルファーシヌクレインにCLEANEX-PMを使うことによる長所は、変性状態に近い状態でのアミドプロトンの速い交換が、正確に求められる点であった。まず最初に、交換がEX2モードで起こることを確認した。次に、pHと混合時間を変化させ、種々のデータポイントで測定し、データを合算することで、データの質を向上させた。水との交換が抑えられている領域を調べてみると、N端ドメインとC端ドメインの構造の運動性が、有意に抑えられていることがわかった。アミロイドが実際に作られるベータシート領域に対応するNAC領域の構造は、溶液中では殆どランダムコイルに近かった。このようにCLEANEX-PM法により、変性状態に近い140残基の蛋白質の残存構造を明らかにすることができた。ただ溶液のモノマー状態では、C端領域においての方がN端領域よりも、やや安定な構造が存在した。おそらく、このN端とC端領域が相互作用して、シヌクレインの全体構造を安定化させているように考えられるが、C端の方が安定な核となる構造であると推定できた。65-90のNAC領域は、構造がほとんどなくランダムコイルに近い構造であった。この構造のない部分が、将来的にはベータ構造を形成しアミロイドを作っていくことは興味深い。さらに、アミロイド形成能を変化させる変異体(A30P、E46K、A53T)が関与する30-65領域においても、ほとんど残存構造は観測されなかった。また異核NOE実験によっても、N端とC端の残存構造が示された。さらにCLEANEX-PM法によって、L-DOPAとシヌクレインの相互作用を観測した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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J.Mol.Biol.
巻: 411 号: 1 ページ: 248-263
10.1016/j.jmb.2011.05.028