公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
若年性パーキンソン病の原因遺伝子Parkinはユビキチン・リガーゼとしてタンパク分解系に関与してることが分かっている。一方、同じ若年性パキン損病の原因遺伝子PINK1もまたparkinと共同してオートファジーを誘導し、膜電位などが低下した異常ミトコンドリアを分解するmitophagyに関わっている事が明らかになっている。このように若年性パーキンソン病におけるミトコンドリア品質管理への作用が注目されているが、病態とタンパク分解系の関連性は不明である。Parkin,PINK1と何れのノックアウトマウスもドパミン放出の低下が観察される。しかも若年齢におけるマウスのシナプス小胞の機能不全が推定されている。タンパク分解型とシナプス不全の関連性を検討するために膵β細胞を用いてインスリン分泌機構を検討した。その結果、インスリン分泌の低下と構造タンパクであるセプチン、アクチンの繊維状構造の蓄積が観察された。特にインスリン分泌の低下はシンタキシン1A依存性の第1相の選択的低下が観察された。現在、同様の現象が神経系でも観察されるか検討中である。
2: おおむね順調に進展している
インスリン分泌からのアプローチという発想の展開で構造タンパクの繊維状蓄積によりインスリン分泌が低下していることを見出した。極めて重要な知見であり、同じような現象を神経系でも再現できれば画期的な発見と言える。現在、神経系の解析を行っており、進捗状況が順調と言える。
インスリン分泌の低下を若年性パーキンソン病患者でも観察されるか検討する。具体的には75gOGTTを行い耐糖能異常の有無を検討する。インスリン分泌機構を神経系に応用し、神経系でも構造タンパクの繊維状蓄積の有無を検討する。更にparkin,PINK1患者由来iPS細胞を確立したので、in vitro系における病態解明を推進する予定である。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (6件)
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