研究領域 | シナプス・ニューロサーキットパソロジーの創成 |
研究課題/領域番号 |
23110522
|
研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
|
研究機関 | (財)大阪バイオサイエンス研究所 |
研究代表者 |
疋田 貴俊 (財)大阪バイオサイエンス研究所, システムズ生物学部門, 研究員 (70421378)
|
研究期間 (年度) |
2011
|
研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2011年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
|
キーワード | 大脳基底核 / 薬物依存症 / 黒質網様部 / Eph受容体 / コカイン |
研究概要 |
大脳基底核は運動制御のみならず、報酬・忌避行動や薬物依存に深く関与している。大脳基底核神経回路は主に直接路と間接路に二分され、共に黒質網様部に入力するが、その統合された情報の処理に関わる分子メカニズムは明らかにされていない。そこで、直接路と間接路のそれぞれに特異的な可逆的神経伝達阻止法を用いて、黒質網様部における神経回路特異的な情報処理機構を解析した。直接路遮断と間接路遮断は共にコカイン急性投与による行動量上昇を抑制するが、コカイン連日投与による行動量増加は直接路遮断でのみ抑制され、間接路遮断では野生型マウスと同様に観察される。そこで、直接路遮断あるいは間接路遮断を行ったマウスにコカインを投与し、黒質網様部での遺伝子発現の変化をマイクロアレイ及び定量的PCR解析したところ、コカインを投与した直接路遮断マウスでのみ黒質網様部でのephrinA5,EphA4,EphA5遺伝子の発現上昇がみられた。これらの分子は黒質網様部のGABA作動性抑制性神経細胞に共存しており、イムノアドヘジンによるこれらの分子の活性化はコカイン連日投与による行動量増加を抑制した。さらに直接路遮断時にのみコカイン投与によるephrinA5下流シグナルの増強(黒質網様部でのリン酸化Erk1/2陽性細胞の増加)がみられた。以上の結果から黒質網様部のephrinA5-EphA4/EphA5シグナルが直接路依存的にコカインによる行動変化に関与していることを示した。依存性薬物投与時の神経回路特異的な分子変化を見いだしたことは、薬物依存症における大脳基底核ニューロサーキットパソロジーの解明につながる。
|