公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
神経系の発達臨界期におけるホルモン環境の変化が、成長後の成熟期での脳や脊髄における構造的性差形成や性行動を含む神経内分泌学的変化をもたらすのか、分子・細胞・組織・個体行動の観点から追究した。神経系の性決定要因は、雄の胎児期や新生児期でのテストステロンサージにあると報告されていることから、まず、テストステロンの作用について解析した。新生児ラットの思春期までの時期を3期(第1週、第2週、第3週)に分け、それぞれの時期にアンドロゲン受容体のアンタゴニストであるフルタミドを投与した。その結果、生後1週から2週にかけてアンドロゲン受容体が作用しないと、成熟期での雄の性行動が有意に減弱することが判明した。性的二型核である視束前野や腰仙髄の球海綿体筋支配神経核の大きさや細胞数には変化は見られず、また血中テストステロン量においても差異は認められなかった。一方、成熟期における海馬神経細胞に対するアンドロゲン作用について、Thy-1GFPトランスジェニックマウスを用いた研究から、アンドロゲン作用はCA1領域の海馬錐体細胞の樹状突起の近位部において著明にその影響を受け、樹状突起上のシナプス部位である棘(スパイン)の数がアンドロゲンによって左右され、精巣摘出で減少、精巣摘出後テストステロン補充投与によってコントロールレベルに戻ることが示された。また、同様のことがスパイン数のみならず、スパイン形態に影響を与え、精巣摘出でmushroom型は減少、代わってthin型の増加、精巣摘出後のテストステロン投与によってコントロールレベルに戻ることが判明した。それと同時に、BDNFやPSD-95のタンパクも変化することが明らかとなった。また、エストロゲン受容体のDNAメチル化、ヒストン脱アセチル化酵素の雄性行動におよぼすエピジェネティック作用機構について、行動神経内分泌学的に精査し、その意義について考察した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (15件) (うち査読あり 15件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (42件) (うち招待講演 5件)
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