研究領域 | 分子自由度が拓く新物質科学 |
研究課題/領域番号 |
23110718
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
理工系
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
平尾 泰一 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50506392)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2012年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2011年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 分子性導体 / プロトン共役電子移動 / 水素結合 / 有機ラジカル / 構造有機化学 / 分子ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究課題は、プロトン共役電子移動(PCET)反応の機構解明を分子の立体構造および電子構造の観点から解明し、これを分子性導体の伝導機構へ応用することを目的としたものである。我々はフェノール-フェノキシルラジカル間の自己交換PCET反応を基礎にしている。前年度はラジカル体の安定化と反応活性化障壁の低下を意図して、ベンゼン環に2つのチオフェンを縮環したベンゾジチオフェン骨格をもつフェノール・フェノキシル誘導体の設計・合成をおこなった。両者を混合して結晶化した際に形成した水素結合錯体は、酸素原子間距離は2.56 Aと非常に接近したものであり、理論研究から予想された反応活性錯体に酷似していた。 本年度は、この錯体を用いて、反応の電子状態観測およびダイナミクスの解明を実施した。X線回折を用いた差電子密度マップから、水素結合部分に存在するアルコール由来の水素原子はブロードなピークとして観測され、サイト間を容易に移動できることが示唆された。また、温度可変赤外スペクトルを測定・解析したところ、アルコール体由来のO-H伸縮振動のピーク形状が温度依存性示すことがわかった。つまり熱的なPCET反応が発現していることが見出された。反応速度論に基づいたスペクトルシミュレーション結果、反応活性化障壁は0.6 kJ/molと非常に小さく、そのため極低温域ではトンネリングの影響が観測された。また、見積もられた反応速度定数は10の11から12乗のオーダーであり、プロトン単体の移動の場合と比べて2桁も速いものであった。この結果は電子が共役して移動した効果であると考えている。 また、年度後半にはPCET機構を利用した分子性導体の開発に向けて、PCET活性となる水素結合部位を2ヶ所有する新規有機分子やニッケル錯体の設計・合成を実施した。
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現在までの達成度 (段落) |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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