公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
生物の器官が正常に形成されるには、複数の細胞が集合し、正確な位置に配置されることが必須である。細胞が集まるためには、個々の細胞が持つ“動く”という性質が正の効果を持つ。しかし細胞移動は、隣接細胞との間に、シグナル、張力、圧力の変化などのノイズを引き起こすので、細胞を正しく配置することに対しては、負の効果があると考えられる。したがって器官形成には、ノイズに柔軟に対応し、秩序正しく細胞を空間配置する高次システムが必要であると考えられる。本研究では、発生生物学と数理モデルを組み合わせた融合研究を行なうことで、このシステムの解明をめざした。ゼブラフィッシュにおいて、クッペル胞(KV)は左右非対称性を規定するために重要な器官である。この形成には、細胞の集団形成、集団移動、上皮化、空間構造の構築など様々な生命現象が含まれる。本研究では、KV形成を器官形成のモデル系として、どのように正常な器官が形成されるのか、特に、細胞の動きに着目して解析した。その結果、FGFシグナルがKV前駆細胞の集団形成を制御すること発見した。さらに、クラスター形成過程の細胞の動きの詳細を観察すると、細胞はランダムに移動しており、その移動が接着によって制限されることが安定なクラスター形成に必須であることも明らかにした。これらの実験データをもとに、数理モデルを作成し、in silicoでクラスター形成を再現することにも成功した。これらの成果は、発生学の分野での重要な発見として位置づけることができる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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120005716658