公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
線維芽細胞において癌遺伝子Rasを活性化させ早期細胞老化を誘導し、時系列的な発現変化、エピゲノム変化のデータを用いて細胞老化に重要な候補分泌蛋白を抽出し、それらの下流シグナルの亢進やシグナル阻害因子の発現状態を検証した。その結果分泌蛋白Bmp2の発現活性化を含むBmp2-Smad1シグナルの活性化が早期細胞老化に重要であり、動的かつ調和的なエピゲノム変化による制御の重要性を昨年度までに報告した(Kaneda et al. PLoS Genet 2011)。今年度はBmp2-Smad1シグナルの下流標的遺伝子の中から、大腸癌において異常メチル化される遺伝子を同定した。その候補遺伝子がメチル化している大腸癌細胞株では発現がサイレンシングされ、脱メチル化による発現回復を確認した。候補遺伝子をメチル化している大腸癌細胞株に導入すると著明な増殖低下、コロニー形成能の低下を認めた。候補遺伝子は約30%の大腸癌でメチル化を認め、癌遺伝子BRAF変異あるいは癌遺伝子KRAS変異と有意な相関を認めた。この候補遺伝子は癌遺伝子変異陽性大腸癌の癌抑制遺伝子と考えられた。癌遺伝子変異により誘導される細胞老化において細胞増殖低下に働く遺伝子がDNA異常メチル化で不活化されることによる発癌機構が示唆された。また癌遺伝子活性化が誘導する分泌蛋白発現において重要なヒストン修飾変化そのものを制御する因子について、発現プロファイルから候補遺伝子の探索を行っている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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PLoS Genetics
巻: 7(11) 号: 11 ページ: e1002359-e1002359
10.1371/journal.pgen.1002359
http://www.genome.rcast.u-tokyo.ac.jp/