公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
初期分泌経路の破綻と神経変性疾患の関連を解明するために、Rer1(アルツハイマー病に関連するγ-セクレターゼ複合体の形成に関与)およびVAP-B(家族性ALSの原因タンパク質の一つ)について、その機能および動態について解析を進めた。1)Rer1の新規な機能:昨年度の研究で、Rer1がゴルジ体から小胞体への逆行輸送に関与するのみならず、いくつかの膜タンパク質の小胞体からの順行輸送に関与することを明らかにしたが、本年度は、可溶性タンパク質の順行輸送について調べた。その結果およびIn vitroの小胞形成実験の結果とも考え合わせると、Rer1は特定のタンパク質に直接あるいは間接的に結合し、順行輸送の積み荷受容体として機能していると考えられた。Rer1の局在調節機構に関しては、阻害剤や変異体を用いた実験からリン酸化による調節の可能性が示唆され、現在確認を進めている。γ-セクレターゼ複合体の形成と分解におけるRer1の役割については大きな進展を得ることができなかった。2)VAP-BとVAP-Aの機能比較:VAP-B(P56S)は小胞体内で凝集体を形成し、家族性筋萎縮性側索硬化症を引き起こすが、そのホモログであるVAP-Aの変異体は凝集体を形成せず、疾患の報告もない。そこで両者の機能の比較を行った。その結果、VAP-Aは小胞体からゴルジ体への順行輸送に、VAP-Bは微小管依存性のプロセスやミトコンドリア形態の調節に関与している可能性を示唆する結果が得られた3)小胞体と微小管の連結に関与するタンパク質の同定:遺伝性痙性対麻痺の原因タンパク質であるReep1は小胞体に存在し、小胞体と微小管を繋ぐタンパク質である。本研究を進めている間に、syntaxin 5 long formおよびVIMPも小胞体と微小管を繋ぐ機能を有することを見い出した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)
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http://pathos.ls.toyaku.ac.jp/?page_id=121