公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究では、ラミン、核内膜タンパク質、クロマチンタンパク質からなる複合体(クロマチン-核膜インターフェース)の構成分子に着目し、卵や初期胚などの未分化な細胞核の構造的特質と機能的特質との関連を明らかにすることを目指した。ツメガエルの卵や初期胚の細胞核は、クロマチンが核膜から乖離しうる特質をもち(初期胚型核)、この特質は細胞分化とともに失われる。このような構造的特質をもつ初期胚細胞の核では、核内膜タンパク質の構成が分化後の細胞と異なっており、主要な核内膜タンパク質がLAP2ω (体細胞型LAP2の初期胚型バリアント)であること、また、その他の核内膜タンパク質の発現レベルが体細胞に比べて低いことがわかった。核内膜タンパク質の構成と初期胚型核構造との関連はこれまでに明らかにされていない。初期胚型核の構築に関わる分子を明らかにするため、様々な核内膜タンパク質のmRNAを卵抽出液で翻訳させ、それら抽出液に精子クロマチンを加えて核を形成させて核構造を調べた。その結果、クロマチン-核膜結合の促進にラミンBレセプター (LBR) が主要な役割を果たすことが明らかになり、初期胚型核の緩やかなクロマチン-核膜結合性はLBRの発現レベルが低いことによってもたらされると考えられた。LBRの内部欠損変異体を作製してドメイン解析を行った結果、N1ドメイン(1-64)がLBRの核局在に、また、N3ドメイン(106-216)の広範な領域がクロマチン-核膜結合の維持に必要であることがわかった。また、LBRの存在は核ラミナ構造に影響を及ぼすことが示唆された。これらのことから、初期胚発生において細胞分化に伴って発現レベルが上昇するLBRは、ラミンとクロマチンとの相互作用に影響を及ぼすことにより転写制御に関わる可能性が示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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