公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
体性感覚野バレル皮質は生後発達の一時期に入力依存性の可塑性を示す臨界期が存在することが知られているが、そのメカニズムについては、未だ不明な点が多い。バレル皮質の臨界期については、1)受容野可塑性には4層-2/3層間のシナプス伝達の変化が重要であること、2)生後12-14日(P12-14)に臨界期が始まること、、などが明らかにされてきた。ヒゲ除去後、バレル皮質のdeprived columnでは、1)4層->2/3層間のシナプス伝達の低下がまずおこり、引き続いて2)隣接するspared columnの2/3層からのシナプス伝達の増強がおこることによって除去ヒゲに対する受容野の退縮が起こると想定されているので、ヒゲ除去による4層-2/3層シナプス伝達の低下は受容野可塑性には必須である。一方、4層-2/3層間のシナプスは4層->2/3層順の発火でシナプス伝達の増強(LTP)が起こり、逆に2/3層->4層順の発火ではシナプス伝達の抑圧(LTD)を導く、スパイクタイミング依存性可塑性(STDP)であることが知られている。また、ヒゲ除去では、通常の4層->2/3層順のスパイク発火順序が逆転することが知られている。本実験において、P13頃にSTDPの性質が劇的に変化し、LTDを獲得することを明らかにした。P13以前ではLTPだけのSTDPであり、ヒゲ除去によっても4層-2/3層のシナプス伝達低下は起こらないので、P13のSTDPの変化が臨界期開始であることを示している。また、同時にP13以前には視床からL2/3への投射が多く、ここにはL4-L2/3とは逆にLTD-STDPが起こることを見出した。L2/3への互いに逆向きのSTDPは協調して神経回路を形成していることが明らかとなった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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