公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
光情報は、光強度の増加や減少、色、物体の動きなどの視覚特性に処理・分解されたのち、それぞれが12種類以上あるとされている網膜神経節細胞のサブタイプにより脳の特定の部位へと送られる。しかしながら、それぞれのサブタイプを簡便に判別する方法がこれまでになかったため、サブタイプの分化や網膜内局所回路形成の分子機構については、ほとんど分かっていないのが現状である。我々は、サブタイプの1つである上向きの光の動きに反応する方向選択性神経節細胞に特異的に発現するSPIG1を発見した。さらにSPIG1-EGFPノックインマウスの副視覚系内側核を逆行性トレーサーでラベルすることにより、上向きばかりではなく下向きの光の動きに反応する方向選択性神経節細胞サブタイプも可視化することに成功した。本研究は、この成果を発展させ、それぞれのサブタイプ特異的遺伝子や2つのサブタイプに共通して発現する遺伝子を次世代シーケンサーSOLiDを用いたWhole transcriptome解析により同定し、これらの遺伝子の機能解析を行うことにより、サブタイプの分化や網膜内局所回路形成の分子機構を解明することを目的とする。本年度は、昨年度に引き続きサブタイプ特異的遺伝子やサブタイプに共通して発現する遺伝子の候補の発現パターンの検証を行った。その結果、両サブタイプに共通して発現する核内転写調節因子と上向きの光の動きに反応するサブタイプ特異的に発現する反発性軸索ガイダンス分子を同定することに成功した。この核内転写調節因子は神経細胞分化への関与が示唆されており、方向選択性神経節細胞サブタイプの分化を制御していることが考えられる。また反発性軸索ガイダンス分子を発現するサブタイプは、その受容体も発現しており、この分子のモザイク形成への関与が推測される。反発性軸索ガイダンス分子については、EGFPノックインマウスを作製した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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