公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
環境中を移動する動物は、環境や身体の内部から感じ取る感覚情報をたよりにしながら、適切な移動方向(ロコモーションの方向)を選択している。本研究は、ゼブラフィッシュ胚が触覚刺激の位置に応じて体軸の旋回角度を変化させ、刺激から遠ざかる方向に逃避する行動をモデルに用いて、感覚刺激の位置情報を、ロコモーションの方向性に変換する神経回路の構造を理解することを目指した。平成23年度、後脳のmafb陽性領域の機能を阻害すると、体幹の旋回角度が増大し、胚が逃避方向を誤ることを示した。今年度はこの結果に基づいて、カルシウムインディケーターGCaMPを用いてmafb陽性領域の神経活動をイメージングによって捉えることをめざした。ピエゾ電圧素子を用いて、胚のmafb陽性領域の神経活動を観察しながら、体表の様々な部位に触覚刺激を与える実験系を構築した。この実験系を用いて、後脳分節構造ロンボメア4から6に存在する、およそ400-500個と見積もられるmafb陽性領域の細胞のうち、ある限られた細胞集団が活性化されることが分かった。少なくともロンボメア6のmafb陽性領域には、頭部への刺激によってのみ活性化される細胞、尾部への刺激によってのみ活性化される細胞、頭部と尾部いずれの部位への刺激に対しても活性化される細胞の、大きくわけて3種類の細胞集団が存在することが分かった。幼魚や制御において逃避行動時に活動することが知られているMauthner細胞を2光子レーザーを用いて阻害し胚の逃避行動における機能を検定した。Mauthner細胞を阻害すると、触覚刺激に対する逃避行動が起こる頻度が減少する一方で、一旦行動が開始されれば、胚は正常な体幹の旋回運動を示した。このことから、Mauthner細胞は逃避行動の開始を制御するが、体幹運動の旋回角度はMauthner細胞には依存しないで決定されうることが分かった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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