配分額 *注記 |
8,320千円 (直接経費: 6,400千円、間接経費: 1,920千円)
2012年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2011年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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研究実績の概要 |
本研究では、平成23年度に引き続き、日本人の非症候性先天性縮毛症・乏毛症の家系の試料を用いて遺伝子解析を行った。その結果、ほとんどの家系のLipase H遺伝子 (LIPH, PA-PLA1αをコード)に共通の創始者変異(p.Cys246Serのホモ接合型、またはp.Cys246Serとp.His248Asnの複合ヘテロ接合型)を同定した。また、1家系にはLIPH遺伝子の新規の変異(p.Cys233Trp)を同定し、変異型のPA-PLA1α蛋白が酵素活性を完全に消失することも証明した(投稿中)。以上より、日本人の本症の原因として、脂質メディエーター関連遺伝子であるLIPHの変異が極めて高頻度に存在することが再確認され、更には、ヒト毛髪の成長における同遺伝子の重要性が強く示唆された。なお、LIPH遺伝子が除外された1家系には、ヒトでは過去に報告のなかったKeratin 71遺伝子に変異(p.Phe141Cys)を同定し、培養細胞内で、変異型蛋白がケラチン中間径線維の形成不全を来すことを明らかにした。Keratin 71蛋白は毛包内毛根鞘(毛髪の成長を支持する重要な層構造)に特異的なケラチンの1つであり、PA-PLA1αと発現パターンが重複していた。いずれの遺伝子に変異が生じても類似した臨床像を呈することからも、PA-PLA1αによって合成されるLPAのシグナル伝達系が内毛根鞘特異的なケラチンの発現等に関与している可能性が考えられた(Fujimoto et al., J. Invest. Dermatol., 2012)。
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