公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
イネ幼葉鞘とシロイヌナズナ胚軸の光屈性は多相的な光量反応曲線を示すが、全ての反応はphot1を光受容体としNPH3/CPT1を必須なシグナル因子とするシグナル伝達系に基づくことを明らかにしている。本年度は多相的な光量反応曲線の分子基盤を探る研究をイネ幼葉鞘(lazy1背景)を用いて進め、次の結果を得た。2つのphot1遺伝子の一方のみの欠損によりタンパク質レベルが半減した場合、パルス誘導光屈性の光量反応曲線は、最大屈曲角度と形状を維持したまま、高光量側にシフトすることが明確になった。また、時間依存光屈性(2~32分照射)もその誘導に有効な光強度が同様に高強度側にシフトすることが明らかになった。これらの結果から、phot1のレベルは光量反応曲線の光量軸における位置(光感度)と相関することが明確になった。前年度の研究で、広帯域光源(青色~近紫外光)で求めた光量反応曲線は、狭帯域光源では単純化し、パルス誘導光屈性の低光量域の小ピークが消失すること、この小ピークは青色光(450 nm)に低光量の近紫外光(384 nm)を加えると生じることを見出した。本年度の研究で、小ピークは青色光→近紫外光の順で照射しても出現するが、その逆では出現しないこと、近紫外光は上方から照射しても効果を持つことなどが明らかになった。近紫外光の作用はphot1を光受容体とする光化学反応の何らかの多相性を反映していると考えられる。葉緑体光定位運動におけるphotシグナル伝達機構との関係を調べる目的で、イネの葉緑体運動を定量的に計測する方法を確立し、イネでもphot1が葉緑体集合反応に関与していることを明らかにした。更に、光屈性の測定では表現型の検出が困難であったPHOT2-RNAi系統を解析し、葉緑体逃避反応が欠損したPHOT2-RNAi系統の分離を達成した。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (11件)
The Plant Journal
巻: 74 号: 2 ページ: 226-238
10.1111/tpj.12115
巻: 74 号: 2 ページ: 267-279
10.1111/tpj.12118
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: -