配分額 *注記 |
7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2012年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2011年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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研究実績の概要 |
疫学研究へ適用可能な、三次元偏光光学系蛍光X線分析法(EDXRF)によるエアロゾル中金属成分の非破壊・迅速測定方法の検討を行った。アジア地域の4都市において石英繊維フィルター(QFFs)上に採取されたエアロゾル試料(大気採取量:約1,000m3)を、EDXRF(リガク社製EDXL300)を用いて分析し、FP(ファンダメンタルパラメーター)法により元素濃度の定量を行った。EDXRFによる分析結果を、同一試料を酸分解/ICP-MS分析した結果と比較した。また横浜においてPM2.5をPTFEフィルター上に捕集した試料(大気採取量:約100m3)を用いて同様の実験を行った。ブランクフィルターもしくは大気粉塵標準試料NIST SRM2783を繰り返し分析(n=5)した際の測定値の標準偏差の3倍と定義した検出限界値は1.7-21ng/m3と計算された。アジア4都市におけるAl, K, Ca, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Ni, Cu, Zn, As, Pbの各元素についての分析値のXRF/ICP比は0.8-1.4の範囲となり、両者の値は良好に一致した。また横浜市におけるAl, K, Ca, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Cu, Zn, Pbの各元素についての分析値のXRF/ICP比は0.9-1.6の範囲となり、両者の値は良好に一致した。さらにマッチングライブラリ機能を用いてエアロゾルのマトリックス効果を補正すると、同一試料群について分析値のXRF/ICP比は0.9-1.3の範囲まで改善できることもわかった。これらの結果より、エアロゾルを捕集するフィルターの材質がQFFであってもPTFEであっても、1試料につきわずか15分という極めて短時間で十数種類の元素の非破壊同時分析が可能になった。これより、本法が疫学研究へのデータ提供のために非常に有効であることが示された。
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