配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2012年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2011年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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研究実績の概要 |
生殖細胞は次世代に遺伝情報を伝え, 種の保存を実現する唯一の細胞であり, 次の世代をつくる全能性を有する. 生殖細胞の前駆細胞である始原生殖細胞の形成と維持にはNanosとPumilioが必要である. NanosとPumilioは, 高等真核生物で保存されたRNA結合タンパク質であり, mRNAの3' 非翻訳領域に結合し, 標的mRNAの翻訳を抑制する. しかし, その制御機構は不明であり, Nanos/Pumilio/mRNA複合体の原子レベルでの立体構造解析が求められている. 本研究は, 生殖細胞の基になる始原生殖細胞の形成と維持に必要なmRNAの翻訳制御因子, NanosとPumilioの構造生物学的研究であり, それらが機能している現場である複合体のX線結晶構造解析を目指す. 前年度にPumilioのC末端ドメイン(PumCTD), NanosのC末端ドメイン(NosCTD)とRNAとの複合体の結晶化に成功したが, 平成24年度は三者複合体のX線結晶構造解析を目指した試料調製を精力的に行った. 10-merと20-merの単鎖RNAを用いて, まずPumCTDとRNAを混合し, その後, NosCTDを添加しゲル濾過を行ったところ, 10-merのRNAでは三者複合体を形成しなかったが, 20-merのRNAを用いた場合に三者複合体としてゲル濾過カラムから溶出することに成功した. また,NosCTDとPumCTDはゲル濾過では相互作用が確認出来なかった. さらに, RNAに対する親和性は, NosCTDよりもPumCTDの方が高いという結果を得ている. これらの結果から, まずPumilioが配列特異的にRNAに結合し, その後NanosがPumilio-RNA複合体に結合し, 三者複合体が形成するモデルを提唱できる.
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