公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
末梢感覚神経終末にCNP受容体(GC-B)が多量に発現することを証明されており、血管内皮細胞から分泌されたCNPが末梢神経に働くことが強く示唆されている。本研究で、後根神経節(DRG)細胞の初代培養系を確立し、これを用いてCNPを添加した後の神経軸索および樹状突起の伸長と形態を引き続き観察したところ、CNP添加細胞では対照に比較して明らかに神経線維数が増加しネットワーク構築が緻密となっていた。前年度に確立したEna/VASP蛋白リン酸化アッセイ法を用いてDRGにおけるCNPのEna/VASP活性に及ぼす効果を検討したところ、CNPは明らかにこの蛋白のリン酸化を亢進させており、神経線維伸長の機序としてこのアクチン再構築部位に会合する細胞骨格の重要因子を制御していることが示唆された。樹状突起棘にGC-Bとその下流エフェクターであるcyclic GMP-dependent protein kinase (cGKI)がともに局在していることから、CNPの作用としてGC-Bを活性化し細胞内cGMP濃度を上昇させた結果、cGKIによりリン酸化と活性化を受けたEna/VASPが局所的なアクチン動態を変化させ細胞骨格を変化させ、樹状突起形成や神経支配に効果を及ぼしていることが示唆された。次に、CNP遺伝子欠損動物における神経障害についてホルマリンアッセイを用いて痛み刺激に対する反応を、CNP遺伝子欠損マウスと野生型マウスで比較したところ、CNP遺伝子欠損マウスでは痛み刺激反応が低下しており、生体においてCNPが神経機能維持に必須であることが示されている。本研究で得られた以上の結果から、内皮細胞由来ペプチドであるCNPが、末梢神経のネットワーク構築・機能調節に及ぼす作用が示されており、血管系から神経系への調節因子としての重要な役割を担っていることが示唆された。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (2件)
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