公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
従来、脊椎の分節は胚発生初期の体節の分節性に依存するとされてきたが、体節の分節性に依存しない脊椎分節機構の存在が、最近の報告から示唆されている。すなわち体節から分化した骨芽細胞は、体節の分節性にとらわれることなく、自発的に秩序ある脊椎の分節パターンをつくり出すと考えられる。本研究では、骨芽細胞の動態や、筋肉・神経・血管などの諸器官との相互作用を、トランスジェニックメダカを用いてライブイメージング解析し、それらをもとに脊椎形成の新たなロジックを発見・提唱することを目指している。当該年度は、ライブイメージング解析を行うためのトランスジェニクメダカ系統の開発を主に行った。その1つである10型コラーゲン-EGFPトランスジェニックメダカは、成熟軟骨細胞の分化マーカーである細胞外マトリックス蛋白質、10型コラーゲンのプロモーター制御下でEGFPが発現するトランスジェニック系統である。興味深いことに、10型コラーゲンは硬骨魚類において骨芽細胞で発現することが知られている。本研究で開発に成功したメダカトランスジェニック系統においても、骨の石灰化パターンにしたがってEGFP陽性細胞が出現することが確認され、これらのEGFP陽性細胞は骨芽細胞であることが強く示唆された。また10型コラーゲン-EGFP陽性細胞が骨芽細胞であることを同定するために、既存のosterix-DsRedトランスジェニック系統とのダブルトランスジェニックメダカを作製した。その結果、10型コラーゲン-EGFP陽性細胞の一部がosterix-DsRed陽性細胞へと変化することが明らかとなり、10型コラーゲン-EGFP陽性細胞は骨芽細胞の前駆細胞であると結論した。本研究の成果により、骨芽細胞前駆細胞から骨芽細胞への分化が生きたままの個体で観察することが可能となった。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)
Nature Communications
巻: 4 号: 1 ページ: 1-8
10.1038/ncomms2643