研究領域 | ゲノム複製・修復・転写のカップリングと普遍的なクロマチン構造変換機構 |
研究課題/領域番号 |
23131514
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
生物系
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
太田 智彦 聖マリアンナ医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60233136)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2013-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2012年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
2011年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | DNA修復 / DNA複製 / BRCA1 / HERC2 / ユビキチン |
研究概要 |
Non-oncogene addictionを標的とした癌の治療法としてDNA修復経路における合成致死性が注目されている。本研究では乳癌で重要なDNA二本鎖切断(DSB)に対する相同組換え修復におけるBRCA1のE3活性の意義を明らかにすることを目的としている。平成23年度はHERC2とClaspinの相互作用によるDNA複製制御とHERC2によるBRCA1のユビキチン化がチェックポイントに果たす役割を中心に解析した。HERC2はPCNA、MCM7、TopBP1とともに複製フォークに局在し、とくにS期後期からG2期にPCNAとの顕著な共局在が認められた。BrdUおよびCidUによるDNA蛍光標識を用いた分子コーミング法によるDNA複製ダイナミクス解析にて、HERC2欠損はClaspin欠損によって生じるDNA伸長反応の抑制および起点発火の促進を緩和させる方向に作用することがわかった。HERCによるDNA伸長反応の抑制と起点発火の促進のメカニズムとしてDNA複製阻害によってHERC2はATRIPと結合し、ATRによるMCM2のリン酸化を促進し、起点発火を誘導することが示された(Wu,et al. Cancer Res.,2011)。一方、BRCA1-BARD1のRING fingerドメインにHERC2およびNPM1の結合サイトが存在することがBIAcore解析により確認された。また、DNA損傷依存的にB4RD1がヘテロクロマチン蛋白質HP1とメチル化ヒストンに結合することが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化学療法の感受性に関するsiRNAを用いた実験がRAD51に対するoff-target effectにより、予想される結果が出ていない。これについてはRAD51に対するoff-target effectが非常に頻繁に起こることが最近報告されており(Adamson,et al.,Nature Cell Biology 2012)、詳細条件を修正して24年度に行う予定である。これ以外の研究計画については概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
(1)BRCA1によるNPM1のユビキチン化がHR経路に果たす役割:ユビキチン化NPM1を精製し、ヒストンシャペロン活性を解析。DNA損傷後のクロマチンリモデリングをMicrococcal Nucleaseアッセイにて解析。BRCA1-BARD1によるin vitro E3アッセイ系を用いて、NPM1-ヌクレアソーム複合体形成がH2Aユビキチン化に及ぼす影響、逆にH2AおよびNPM1ユビキチン化のNPM1-ヌクレアソーム複合体形成への作用を解析。(2)BARD1のAnkyrin repeatおよびBRCTドメインの結合蛋白質の探索と機能解析:放射線照射後の細胞よりクロマチン抽出液を作成、GST-pull downと質量分析計によって上記ドメインへの結合蛋白質を同定。得られた蛋白質のBARD1との結合を免疫沈降などで確認した後、DNA損傷応答における役割を解析する。(3)BRCA1-BARD1 RING二量体形成時にBRCA1のRING domainで結合するNPM1およびHERC2の結合様式を、Biacoreを主体に解析する。
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