公募研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
個体全域に広がる性差の構築メカニズムに関する研究は、性ホルモンとその受容体による転写制御の分子メカニズムの研究を除いては大きな進展は見られない。CBX2/M33などのクロマチン因子が、遺伝的制御と内分泌制御の相互作用の場をクロマチン上に提供していると推測できる。本課題では、性差を示す疾患である骨粗鬆症に関わる骨芽細胞などの間葉系細胞の次世代シークエンサーを用いたゲノムワイドなクロマチン構造・発現を統合した解析をめざす。骨髄間葉系細胞を含む長管骨髄腔内total RNAを用いたRNA-seq解析(領域内共同研究)をおこなった。出生後3週の正常マウス雌雄2匹ずつの遺伝子発現量のクラスター解析およびヒートマップ解析により、発現量に個体差のあるRNAが明らかになった。また、常染色体上にコードされるいくつかのnon coding RNAの量に性差があることが示唆された。一方、出生後3週のCbx2/M33ノックアウトマウス長管骨髄腔内では、骨芽細胞分化特異的に発現するAlpl, Col1a1, Bglap (Ostecalcin)の発現量が著しく低下しており、逆に脂肪細胞分化制御遺伝子PPARgならびに脂肪細胞分化遺伝子Fabp4の発現量亢進を認めた。以上の結果より、骨芽細胞および脂肪細胞分化制御にCbx2/M33が不可欠であることが明らかになった。以上の結果は、クロマチン構成因子Cbx2/M33が骨髄間葉系細胞の分化維持機構に重要な役割を果たしていることを示す。より詳細なデータ解析をおこない、Cbx2/M33欠損によるRNA量変化の雌雄差を検討している。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Endocrinology
巻: 153 ページ: 913-924
PLoS One
巻: 6
120007113683