配分額 *注記 |
11,180千円 (直接経費: 8,600千円、間接経費: 2,580千円)
2012年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2011年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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研究実績の概要 |
物体表面の色や肌理・模様などの視覚特徴は物体認識の有効な手がかりとなる。本研究では、これら視覚特徴の脳内表現様式とその変換過程の解明を目指して、大脳皮質腹側視覚経路に属する領野から神経活動計測実験を実施した。 自然界に存在する様々な物体(石、樹皮、葉、花、果実、蝶翅、羽毛、皮)の表面特徴のみを含む画像(64枚)からなる刺激セットを構築した。刺激セットに対する単一神経細胞の応答を鎮痛不動化したニホンザルの第一次視覚野(V1, n=1333)、V4 (n=903)、下側頭葉皮質(IT, n=665)よりマルチプローブ・マルチニューロン計測手法を用いて計測した。 視覚応答を示した細胞は、V1(55%)、V4(78%)、IT(46%)の全ての領野に存在した。刺激選択性の鋭さには、領野間で差はなかった。単一神経細胞の応答と画像解析を用いて抽出した画像特徴量(方位、空間周波数、輝度、色など)との相関関係は領野間で異なっており、相関を示した細胞の割合および相関の程度は、V1において、V4、ITよりも高かった。この結果は、V1の多くの細胞において、自然物体表面画像に対する応答が画像に含まれる基本的な特徴量で説明可能であることを示す。一方、V4、ITの神経活動は、意味差判別法(13個の形容詞対regular-irregular, glossy-matte, smooth-rough, など;5段階評価)を用いた心理実験より得た画像の心理的特徴量とよく相関した。これらの結果より、V1からV4へと自然物体表面特徴に関する情報が伝達される過程で、情報表現様式が、画像の基本的特徴を反映したものから心理的印象を反映したものへと、大きく変化する様子が明らかになった。
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