研究領域 | 中国文明起源解明の新・考古学イニシアティブ |
研究課題/領域番号 |
23H03916
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅰ)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
田副 博文 弘前大学, 被ばく医療総合研究所, 准教授 (60447381)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 威信財 / ネオジム同位体 / 貝 / 産地同定 |
研究開始時の研究の概要 |
「地理的な情報を特定可能」「生物の代謝による影響を受けにくい」「保存・加工などによる組成の変化が小さい」という強みを持つ,ネオジム同位体比を用いた威信財の産地判別法を確立することを目的とする.具体的には,ネオジムの起源となる地質学的特徴(同位体比)をタカラガイ遺物から化学的に抽出し,その情報を地理的配置と照合することで,産地を同定する.また,地球化学・考古科学の学際的な共同研究のため障壁となる技術的課題を解決するため,分析自動化技術を開発し,高品質のデータを提供する分析システムを確立する.
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研究実績の概要 |
東南アジア地域を中心として現世のタカラガイを収集し、ネオジム同位体比分析を進めており、現世タカラガイのデータベース構築を推進してした。タイ(アンダマン海・タイ湾・バングラデシュ・スリランカ・タンザニア・長崎など15個体の化学的前処理を完了しており、令和6年7月に同位体比分析を実施する予定である。 また、鹿児島湾を中心とした集中観測を行い多地点でのタカラガイ試料および貝類試料を採取した。これらの試料のネオジム同位体比を分析することで桜島や開聞岳・近傍河川など局所的な供給源がネオジム同位体比の分布に与える影響について検証する予定である。 考古試料のタカラガイでは現生試料に比べ100倍前後のネオジムが濃縮しており、続成作用による酸化物沈着が大きく影響していることが明らかになった。このクリーニングについて連続抽出法を用いた検討を行った。 化学的前処理法の自動化システムの構築を推進し、2段階の化学分離工程のうち初段プロセスの自動化については完了しており、1日に20試料の処理が可能となり、分析法の確立・高度化について顕著な進捗があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現世のタカラガイ試料の収集や前処理法の確立について順調に進展している。試験的なネオジム同位体比分析データを初年度に得ることができなかったが、7月に測定することが予定されている。前処理技術の自動化についても2段階の分析工程のうち、不純物を多く含み大きな個体差を持つことから難易度の高い1段階目の祖分離について分析法を確立することができている。これらのことから全体の研究計画を通して概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
現世の貝殻試料を用いてタカラガイの産地同定のためのデータアーカイブを構築する。具体的には東南アジア諸国から集めた約20地点の貝殻を分析する。また、鹿児島湾で集中観測を行い採取したタカラガイ試料を用いて桜島や開聞岳など局所的な供給源がどの程度影響するのかについて判断する。考古学試料では、令和5年度に続き酸化還元法による連続抽出を用いて表面汚染を除去し、現生の値との比較を行う。自動固相抽出装置についてもオートサンプラ―装置および2段階の分離工程を備えたシステムを構築し、分析技術の普及に向けた取り組みとする。
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