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14~16世紀アラブ都市エリート間の名目的コネクティビティの可視化分析

公募研究

研究領域イスラーム的コネクティビティにみる信頼構築:世界の分断をのりこえる戦略知の創造
研究課題/領域番号 23H03928
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅰ)
研究機関東京大学 (2024)
東京外国語大学 (2023)

研究代表者

太田 絵里奈 (塚田絵里奈)  東京大学, 附属図書館, 特任助教 (40899043)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード前近代アラブ史 / マムルーク朝 / 文民エリート / デジタル・ヒューマニティーズ / コネクティビティ
研究開始時の研究の概要

本研究は、14~16世紀のアラブ都市エリート(学者・行政官)の間で広く取り交わされた、名目的な免状(イジャーザ)に基づく師弟関係に着目する。免状を介して構築された、実態を伴わない、間接的なつながりが個人や家系の栄達において果たした役割の解明を主眼としつつ、当慣行に基づく社会上層部の複層的関係性を可視化する方法論として、ネットワーク分析ツールを採用する。史料精読に基づく実証研究とデジタル解析を併用し、彼らの有した多様なコネクティビティを、質・量の両側面から分析することで、従来の個別事例研究では捨象されてきた非著名層をも含む、総体としての都市エリートの生存戦略を提示する。

研究実績の概要

本研究は、学的免状(イジャーザ)によって結ばれた名目的な師弟関係の構築という観点から、14~16世紀のアラブ都市エリート(ウラマー(学者)・行政官)がいかなるコネクティビティを有していたかを分析対象とする。そして彼らの間接的なつながりをデジタルツールにより量的に可視化することで、かかる慣行が普及した時代的背景や戦略的意義を考察するものである。

2023年度においては実施計画の第一段階として掲げていた「①名目的免状を核とした文民エリート間の紐帯の実証的研究」に注力し、その成果の一部を論文として発表した(「マムルーク朝後期の人名録にみるウラマーの「悪評」:「記録」の選択から「記憶」としての共有へ」『史学』92(4)号、87~109頁、2024年3月)。

続いて、①の質的分析を通じて得られたデータを「②ネットワーク可視化ツールを用いて解析」する前提として、RDFを用いた機械可読化のためのモデル作成を行なった。この作業においては、多様な時代・地域に適用可能なデータ・モデルを検討するとともに、自身のデータを作例として参加者に共有することで、その妥当性・相互運用性を問うことを目的とした、全3回のRDFセミナー・シリーズ(イスラーム信頼学「データ駆動型研究に向けたRDFハンズオン・セミナー Part. 1」及び「Part. 2」)を開催した。これらを通じて得られた、歴史研究者、人文情報学研究者双方からの知見を踏まえて作成したデータ・モデルを「イスラーム信頼学」第三回国際会議において報告し、精緻化に向けたディスカッションを重ねた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は集団的に請求・授与される「名目的イジャーザ」の事例から、15世紀を中心とするアラビア語伝記史料にあらわれる文民エリートのプロソポグラフィー的研究を進め、間接的コネクティビティの解明に必要なデータ取得のための実証研究を行なった。同時にRDFセミナー・シリーズの企画・開催を通じて、人文情報学を専門とする研究者の見地を取り入れ、ネットワークの可視化に向けたデータ・モデルの構築に成功した。それを踏まえ、15世紀の人名録を通じて名目的免状授受に携わった人物に固有IDを付し、機械可読化に向けたデータのクリーニング作業まで進めることができた。

今後の研究の推進方策

2023年度においては15世紀の人名録に記録された師弟関係のうち、実態を伴わない免状授受の事例として400例以上を抽出することができたが、2024年度では、史料の対象とする時代を14世紀後半から16世紀初頭(マムルーク朝末期)へと拡大し、通時的な評価に向けてさらなる事例収集を進める。デジタルテキストから得られた広範な事例に基づき、社会上層部のコネクティビティにおいてノードとなる人物や、彼らを介して拡張された名目的関係を可視化し、同慣行が都市エリートの生存戦略上果たした役割の評価と、実態を伴わない関係構築が拡大した背景について検証を行なう。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (3件)

  • [雑誌論文] マムルーク朝後期の人名録にみるウラマーの「悪評」:「記録」の選択から「記憶」としての共有へ2024

    • 著者名/発表者名
      太田絵里奈
    • 雑誌名

      史学

      巻: 92/4 ページ: 87-109

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Visualizing the Connectivity of 15th Century Islamic Intellectuals by Using RDF2024

    • 著者名/発表者名
      Erina Ota-Tsukada, Jun Ogawa
    • 学会等名
      The 3rd Islamic Trust Studies International Conference “Exploring the Tacit Knowledge of Trust Building and Connectivity amidst Predicaments”
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] 何を記し、何を記さないか:15世紀人名録に埋め込まれたウラマーの"悪評"2024

    • 著者名/発表者名
      太田絵里奈
    • 学会等名
      東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所基幹研究「「記憶」のフィールド・アーカイビング: イスラームがつなぐ共生社会の動態の解明」研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Dragomans and Pilgrimages to the Holy Land in the Late Mamluk Period2023

    • 著者名/発表者名
      Erina Ota-Tsukada
    • 学会等名
      “The Middle East and Europe, 1097-1517”, Chair of the State of Qatar for Islamic Area Studies
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] セマンティックウェブとして描く15世紀人名録のコネクティビティ2023

    • 著者名/発表者名
      太田絵里奈
    • 学会等名
      イスラーム信頼学「データ駆動型研究に向けたRDFハンズオン・セミナー Part. 1]
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] イスラーム信頼学ブログ「Blog #13 “記録”のビッグデータから“思い”を読み解く」

    • URL

      https://connectivity.aa-ken.jp/newsletter/1797/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] 人文情報学月報「Digital Humanities Winter Days 2023」

    • URL

      https://www.dhii.jp/DHM/dhm150-2

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] 人文情報学月報巻頭言「「主語」・「述語」・「目的語」で歴史を表現する」

    • URL

      https://www.dhii.jp/DHM/dhm151-1

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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