研究領域 | ダークマターの正体は何か?- 広大なディスカバリースペースの網羅的研究 |
研究課題/領域番号 |
23H04005
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
宮武 広直 名古屋大学, 素粒子宇宙起源研究所, 准教授 (20784937)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 観測的宇宙論 / 暗黒物質 / 銀河団 / 銀河 / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
宇宙観測技術の飛躍的な向上によりΛCDM宇宙論が確立された。ところが2010年代半ば以降、宇宙構造の凸凹の程度を表すS_8などの宇宙論パラメータにおいて、初期宇宙と後期宇宙の観測量を用いた測定値の間に違いが見え始めてきた。これはΛCDM宇宙論の綻びである可能性がある。本研究では、後期宇宙の構造形成の測定から得られるS_8の精密測定を可能にするため、機械学習に基づいた理論モデル(エミュレータ)の中で最も大きな系統誤差と考えられているアセンブリ・バイアスによる効果をエミュレータに組み込む。このエミュレータを用いて、すばる望遠鏡HSCを用いた宇宙論解析などを行い、ΛCDM宇宙論の徹底検証を行う。
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研究実績の概要 |
今年度はアセンブリ・バイアスを宇宙論エミュレータに組み込みため、N体シミュレーションを詳細に調べ、アセンブリ・バイアス入りの宇宙論エミュレータのプロトタイプの開発を、京都産業大学の西道啓博准教授と名古屋大学の大学院生とともに進めた。まず、アセンブリ・バイアスを引き起こす暗黒物質ハロー形成史に関連する物理量のうち、ハローの中心集中度、局所的な密度、スプラッシュバック半径(銀河団と周辺の環境の物理的境界)に着目した。このうち、今年度はハローの中心集中度に対してアセンブリ・バイアス入りのプロトタイプ・エミュレータの開発を進めた。まず、N体シミュレーションにおけるハローサンプルを中心集中度の関数としてサブサンプルに分け、銀河クラスタリング信号を測定した。エミュレータのプロトタイプとして、まずは宇宙論パラメータを固定してアセンブリ・バイアスのみが入ったエミュレータの開発を行うこととし、測定した銀河クラスタリング信号に機械学習、特に順伝播型ニューラルネットワークを適用することで、プロトタイプの開発を進めた。順伝播型ニューラルネットワークのハイパーパラメータを調整することで、アセンブリ・バイアスを入れた銀河クラスタリング信号が1%程度の精度で予言できることがわかった。ただし、ハローの質量の範囲によっては、精度が良くない領域があり、その改善を行なっているところである。研究の進捗は主に名古屋大学の大学院生が学会・研究会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アセンブリ・バイアス入りの宇宙論エミュレータのプロトタイプ開発が順調に進んでいるため。
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今後の研究の推進方策 |
来年度は宇宙論パラメータも変数に入れたアセンブリ・バイアス入りの宇宙論エミュレータを完成させ、すばる望遠鏡Hyper Suprime-Camのデータに適用する。
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