公募研究
学術変革領域研究(A)
暗黒物質の有力な候補となりうるアクシオンは,理論的に予言いる未発見の素粒子である.XENON実験による太陽アクシオンの信号は,3種類の相互作用 (電子,光子,原子核との相互作用)が混合 の不定性から逃れられない.そこで本研究は他の原理に基づく相互作用ごとに特化した2つの探索実験を行う.いずれも研究代表者独自のイベント駆動型X線ピクセル検出器「SOIPIX」を用いる.1つはテーブルトップ型の「ISAI実験」であり,もう1つは「SOIPIX」を主検出器として搭載する広帯域X線衛星による「ALPINE観測」である.それぞれ原子核および光子との相互作用に特化しており,混合による不定性が無い.
暗黒物質の有力な候補となりうるアクシオンは,理論的に予言いる未発見の素粒子である.XENON実験による太陽アクシオンの信号は,3種類の相互作用 (電子,光子,原子核との相互作用)が混合 の不定性から逃れられない.そこで本研究は他の原理に基づく相互作用ごとに特化した2つの探索実験を行う.いずれも研究代表者独自のイベント駆動型X線ピクセル検出器「SOIPIX」を用いる.1つはテーブルトップ型の「ISAI実験」であり,もう1つは「SOIPIX」を搭載する次期広帯域X線衛星による「ALPINE観測」である.それぞれ原子核および光子との相互作用に特化している.第1期公募研究での成果を受けISAI実験の本観測から,アクシオンの質量や原子核との相互作用の強さを,過去最高の制限をつける.そこで得た知見を元に,衛星搭載用SOIPIX素子とシステムの高性能化を行い,ALPINE観測の実現性を高める.1年目の2023年度は,低BGDフレキへのXRPIX7の組み立て,読み出し回路の準備,最高性能を発揮する駆動方式の開発,Fe-57箔の入手と低BGD保持ジグの作成,プラスチックシンチレータの完成,低バックグラウンドの鉛の入手を行った.これにより,要素毎の準備の大半が完了し,コミッショニングの最終段階に進めた.2年目(最終年度)に最終的な調整などを行い,観測を開始する.
1: 当初の計画以上に進展している
第1期公募研究の支援を得てISAIの準備を進めてきた.放射能を従来品の1/7000に抑えた低BGDフレキへのXRPIX7の組み立てと,読み出し回路の準備を行い,最高性能を発揮する駆動方式を開発した.京大理学部5号館東棟に観測装置として恒温槽を設置,その中でXRPIX7を動作させ予定性能を確認した.他の予算も確保し,Fe-57箔の入手と低BGD保持ジグの作成を行った.2023年度はインハウスで組み立て中のプラスチックシンチレータの必要本数を完成させた.観測用に必要な2つの低BGDフレキに取り付けたXRPIX7のうち,1つは完成し,観測装置の恒温槽中での動作も問題ないことを確認した.さらに,低バックグラウンドの鉛の入手にも成功した.これは当初の計画にはなかった実績であり,これにより当初の計画以上に進展していると評価する.また,2つ目のXRPIX7の読み出し部も低BGDフレキへの改造が終了した.
2年目(最終年度)は,まず2つ目のXRPIX7の読み出しの調整を行う.当初XRPIX7からのアナログ信号のDCレベルと,それを受ける外付けADCのレベル設定が噛み合わない,という問題があった.これはXRPIX7出力を増幅するインストルメンテーションアンプ素子に原因があることがわかった.検討の結果,インストルメンテーションアンプ素子の交換を行うのではなく,さらなるADC入力部のドライバICの設定の調整により対応することにした.この変更を行ったうえでの,性能評価を行う.合わせて,反同時計数システムの最終調整を行い,カメラ部と三角シンチレータシステムを恒温槽にインストールする.これにより,コミッショニングが終了し,本観測を開始する.
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (38件) (うち国際学会 5件、 招待講演 1件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
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