研究領域 | 高密度共役の科学:電子共役概念の変革と電子物性をつなぐ |
研究課題/領域番号 |
23H04011
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石垣 侑祐 北海道大学, 理学研究院, 准教授 (60776475)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | ジカチオン / πダイマー / 酸化還元系 / 分子間相互作用 / クロミズム / 高歪化合物 / 分子内相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
新たな共役の概念として,"X"-conjugationの学理構築を目指す高密度共役の科学において,原子,あるいは分子間距離の巧みな制御は最重要課題といえる。本研究では,空隙を最小化し共役電子の最近接を実現するためのアプローチとして,特異な原子間距離を示すσ結合種を前駆体として用いる手法(A)及び近接させたカチオン種を前駆体とする手法(B)の二つを提案する。伸長したσ結合を外部刺激によって切断,あるいは近接させたジカチオン種に電子を注入することで超近接π積層を実現する。外部刺激によって原子/ユニット間距離の自在制御が可能な分子を構築し,本領域が掲げる共役概念の変革に寄与することを目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は,本学術変革領域が目指す"X"-conjugationの学理構築に向け,原子間距離を緻密に制御することで,特異な電子状態に基づく未踏機能の実現に寄与することを目的とし、以下の三つの課題を推進した。 課題Iでは,空隙の最小化による高密度共役の実現に向け,『伸長した炭素-炭素σ結合を前駆体とする超近接πダイマー創製』を展開した。具体的には,長いσ結合種を前駆体とするπダイマー創出アプローチを提案し,実験及び理論計算の両面から検討を実施した。その結果,σ結合種を酸化したカチオン種において3.0Åを下回る炭素…炭素原子間距離が観測されることを明らかにし,興味深いレドックス応答及び吸収特性を明らかにした。 課題IIでは,非結合状態のさらなる安定化と,外部刺激による劇的な電子構造変化を目的とし,『ヘテロ原子の導入による超近接πダイマーの安定化と外部刺激制御』を推進した。現在までに,窒素原子を導入した誘導体を複数構築し,その合成過程で新規π共役系分子の創出を実現した。前例のない歪んだ骨格を持っていることからこの誘導体についても調査を進め,論文誌にて発表した。 課題IIIでは,レドックス活性部位を大環状分子に組み込むことで,それぞれの酸化状態に応じてユニット間距離を高度に制御することを目的とし,『シクロファン型酸化還元系の構築と三次元共役の実現』に向けて研究を実施した。より平面性の高いカチオンユニットを用いることで,カチオン間でのπ積層と段階的な酸化還元挙動の観測を達成している。また,領域内共同研究により,新規環状分子の設計・合成にも成功しており,三次元共役のレドックス制御に向けて重要な知見を獲得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題にて設定した三つの課題において学術論文としてまとめ(査読中含),次の成果につながり得る設計指針を獲得できていることから,順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
課題I及び課題IIでは,超近接πダイマーの実現に向け,最長のC-C単結合を示し得る分子の設計・合成とヘテロ原子導入による展開を継続して実施する。ラジカル種の安定化に寄与するシェル構造と剛直な足場の適切な組み合わせについて,現在までの知見を活かして選定する。ここで,剛直な足場として設定したπ骨格は課題I-IIIに共通する部分構造であるため,角歪みや立体反発の程度による原子間距離の変調が可能な骨格についても検討を進める計画である。 また,課題IIIに関して,現在までにシクロファン型ジカチオンにおいて得られている設計指針を基に,新たな分子へと繋げる。また,現在までに得られている分子について,外部刺激を加えることでその積層距離及び吸収特性の変化が期待されるため,併せて調査する。 以上の課題について研究成果をまとめ,論文として公表する計画である。
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