研究領域 | 高密度共役の科学:電子共役概念の変革と電子物性をつなぐ |
研究課題/領域番号 |
23H04021
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
秋根 茂久 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 教授 (30323265)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 積層構造 / 配位結合 / 金属錯体 / 非共有結合的相互作用 / 大環状化合物 / 構造変換 / π平面 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、金属と配位子の間での配位結合の形成を駆動力として、二枚の多環芳香族分子をより近接した位置に積層できるような一連の方法論の確立を目指す。配位結合の結合エネルギーは、金属イオンと配位子の組み合わせによっては共有結合並みの大きさとなるため、これを駆動力とすることでより大きな近接効果が期待される。そこで、配位結合によって二枚のπ平面が近づくような設計の大環状配位子を新たに設計・合成し、金属イオンとの錯形成によって生成する錯体の構造や物性を明らかにする。
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研究実績の概要 |
一般に、多環芳香族炭化水素やグラファイトの層間には、分散力やπスタッキング相互作用が普遍的に働く。例えば、グラファイトの層間距離は3.4 Åである。この距離は、特別なことをせず、自然に積層構造が形成されたときの距離に相当する。芳香環をこの距離より近い層間距離で積層させるためには、ポテンシャル曲面の上りかけの少し不安定な位置で二つのπ平面を固定する必要がある。この不安定化(反発)を凌駕する十分な相互作用や外的な摂動があれば、このように近接した位置での積層が可能となると予想される。本研究では、salen配位子と金属の錯形成によって強制的に二つの芳香環の距離が近づくような設計の分子を合成し、その積層距離を評価することとした。 salen配位子の二つのヒドロキシ基のオルト位にπ平面(ペリレンビスイミド)を導入した分子を合成した。前駆体となるペリレンビスイミド置換サリチルアルデヒドは、ホルミル基およびヒドロキシ基を保護した3-アミノサリチルアルデヒドとペリレンイミド誘導体の反応と、その後の脱保護により合成した。続いてこれをエチレンジアミンと反応させてπ平面置換salen配位子を合成した。1H NMRスペクトルにおいて、この配位子中のペリレンビスイミドプロトンは一般的なペリレンビスイミド誘導体と同様の化学シフトに観測されたが、これをニッケル(II)と錯形成させたところ、高磁場シフトともにシグナルのブロード化が観測され、積層構造の形成が確かめられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた構造のπ平面置換salen配位子を合成し、ニッケル(II)錯体へと変換することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
合成したπ平面置換salen配位子およびそのニッケル(II)錯体について、面間距離を各種スペクトルにより評価し、その積層構造の詳細について明らかにする。
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