研究領域 | マテリアルシンバイオシスための生命物理化学 |
研究課題/領域番号 |
23H04051
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鬼塚 和光 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (00707961)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | RNA / 大規模解析 / 高次構造 / 光触媒 / ラベル化 / 核酸結合タンパク質 / プロテオミクス / anti-miR |
研究開始時の研究の概要 |
RNA動的高次構造・RNA-タンパク質複合体形成の包括的な理解は、未知の細胞内RNA機能を発見・解明していくために重要である。また、オリゴ核酸-タンパク質間相互作用を大規模に解析する技術は核酸医薬品候補の機能理解・未知なる機能の発見にとって重要である。本研究では、①核酸-タンパク質間相互作用大規模解析、②RNA-低分子間相互作用大規模解析を行い、RNAや核酸医薬品候補に関連する様々な相互作用大規模情報を取得・活用し、核酸が関連する多くの物質共生-生命科学研究への貢献を目指す。
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研究実績の概要 |
RNAの動的高次構造やRNA-タンパク質複合体形成の包括的な理解は、未知の細胞内RNA機能を発見・解明していくために重要である。本研究では、①核酸-タンパク質間相互作用大規模解析、②RNA-低分子間相互作用大規模解析に関する研究を進めた。 ①では核酸結合性タンパク質に特化した光触媒ラベル化反応の開発を行った。系の確立を目指し、最初にG4重鎖構造(G4構造)に様々な光触媒を化学修飾したG4-cat-DNAを合成し、タンパク質のラベル化・プロテオミクスを行った。その結果、核酸の末端にRu複合体を修飾したものが本系に最も適していることを確認できた。さらに、本系を用いることで新しいG4構造結合タンパク質を見出すことに成功した。興味深いことに、このタンパク質はDNAだけでなくG4RNAとも結合し、その結合力はRNAの方がより強いことも明らかにした。G4-cat-RNAのプロテオミクスの準備も進んでいる。またG4だけでなくヘアピンループ構造にも着目し、併せて解析を進めている。 ②ではタンパク質ラベル化反応の知見を活かし、RNAの光触媒ラベル化反応に取り組んだ。様々な光触媒、蛍光性分子で光反応を行い次世代シーケンサーでその反応性・反応部位を解析したところ、その分子の結合位置や構造モチーフの理解につながる重要な結果が得られた。また、当初想定していなかった光酸化反応による面白い現象も見出せており、今後につながると考えている。現在動的構造解析への適用を含め、応用研究につなぐ準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
①核酸-タンパク質間相互作用大規模解析に関して、光触媒ラベル化反応を利用した核酸結合タンパク質大規模解析の系の確立に成功し、さらに得られた情報からG4重鎖構造に結合するタンパク質を新規に見出し、実験的に確かめるところまで研究が進んだため、おおむね順調に進展しているといえる。見出したタンパク質はG4とは一見無関係な機能を生体では果たしている。もしG4構造とそのタンパク質の生体内での関係を明らかにできれば、新たな生命現象の関係を解くことにつながるため、本研究を進めていくうえで非常に重要な結果を得ることができたと考えている。 ②RNAの光触媒ラベル化反応では、反応を次世代シーケンサーで解析していくことで、その分子の結合位置や構造モチーフの理解につながる重要な結果が得られた。また、当初想定していなかった光酸化反応による面白い現象も見出せており、今後につながると考えている。こちらもおおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトテロメア配列を持つRu複合体修飾G4-Ru-RNAを用いて、結合タンパク質の調査を進める。具体的には、合成したG4-Ru-RNAを用いて、細胞抽出液中でタンパク質のデスチオビオチンラベル化反応を行う。ビオチン化されたG4結合タンパク質をストレプトアビジンビーズでプルダウン後、nanoLC-MS/MSを用いたRu-dsRNA(コントロール二本鎖)との差分解析により、結合タンパク質の大規模解析を実施する。得られたデータをもとに、興味深い結合タンパク質に関してはその結合性を検証する。同時にヘアピン構造を持つRNAの解析を行い、結合タンパク質の調査を行う。その他の構造モチーフや核酸医薬品候補に結合するタンパク質の調査も上記2つの解析が終わり次第挑戦する。 さらに、我々はタンパク質ラベル化反応だけでなく、RNAの光触媒ラベル化反応も最近見出している。この知見に基づき、様々な光触媒や蛍光性物質を用いて標的RNAに対して反応を行い、次世代シーケンサーを用いて反応点を解析する。これまでに見出した化合物を用いて、ライブラリスケールで反応を行いそれぞれの分子の特性をつかむ。さらに、細胞抽出液・細胞中でも同様の反応を行い、転写産物レベルでRNA高次構造の動的挙動の理解と動的高次構造マッピングに挑戦する。
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