• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

物質共生が成立したヒト生細胞中における相互作用の測定・解析手法の開発と応用

公募研究

研究領域マテリアルシンバイオシスための生命物理化学
研究課題/領域番号 23H04069
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅱ)
研究機関京都大学

研究代表者

片平 正人  京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (70211844)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
キーワードインセルNMR / 核酸構造 / 核酸ダイナミクス / 相互作用 / APOBEC3 / Vif / 脱アミノ化 / リアルタイムNMR / RNAアプタマー / 4重鎖
研究開始時の研究の概要

HIVの病因性タンパク質Tatに対するRNAアプタマーをヒト生細胞に導入し、RNAアプタマーと細胞の状態をインセルNMR法でモニタリングする事で、双方が健全な状態にある事を検証する。これにより、マテリアル(RNAアプタマー)と生体の「物質共生」が成立している事を確認する。その上で、細胞内におけるRNAアプタマーとTatの相互作用様式の実態を解明を行う。また、4重鎖核酸構造を安定化/不安定化する低分子化合物・タンパク質と4重鎖核酸に関しても、「物質共生」の成立の確認と相互作用の実態の解明を行う。以上によって「物質共生」下においてマテリアルが機能を発揮する際の相互作用様式の実態を明らかにする。

研究実績の概要

ヒト免疫不全ウィルス(HIV)に対する防衛手段として、ヒトはAPOBEC3G(A3G)及びAPOBEC3F(A3F)タンパク質を有している。両タンパク質は、HIVのプラス鎖RNAから逆転写によって生成されたマイナス鎖DNAに作用し、シトシンを脱アミノ化してウラシルに変換する。これによってHIVのゲノム情報が書き換えられ、無力化する。しかしHIVのVifタンパク質は、ヒトのCBFβ、ELOB、ELOC及びCul5タンパク質と5者複合体を形成し、A3GとA3Fをユビキチン化して分解に導いてしまう。このように宿主とウィルスは激しい攻防を繰り広げている。最近、Vif 5者複合体は、A3GとA3Fの脱アミノ化活性を直接阻害する事で、両者を無力化する可能性が指摘された。今回、Vif 5者複合体によるA3GとA3Fの脱アミノ化活性の阻害を、NMR法を用いた反応のリアルタイムモニタリングによって検証した。その結果、この阻害が確かに生じる事が明らかとなった。これまでVif 5者複合体はA3GのN末側のドメインに結合してユビキチン化を為す事が知られていたが、脱アミノ化を阻害する際には、Vif 5者複合体はA3GのC末側のドメインに結合してこれを為す事が分かった。また、Vif 5者複合体はA3Fの脱アミノ化活性も阻害する事が分かった。Vif 5者複合体の負の効果を無力化する為には、ユビキチン化に加えて脱アミノ化阻害も抑制する化合物の開発が必要となると考えられる。
加えて、核酸に関するインセルNMR法の方法論の開発とその応用も行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

HIVはヒト細胞内に存在しつつ、宿主と激しい生存の為の攻防を繰り広げている。ウィルスにとって脅威となる宿主タンパク質を、ユビキチン化・分解によって無力化する事がこれまで知られていた。これとは別の生存戦略として、ウィルスにとって脅威となる宿主タンパク質の酵素活性の直接的な阻害という可能性が、最近指摘されている。本研究ではこの戦略の可能性を、リアルタイムNMR法によって直接証明する事に成功した。また、インセルNMR法の方法論の開発と応用に関しても、進行させた。

今後の研究の推進方策

物質共生を理解する上で、ウィルスと宿主の生存の為の激しい攻防は、反面教師として参考になる。HIVのVif 5者複合体とヒトのAPOBEC3タンパク質との相互作用に関し、上述した脱アミノ化阻害とは別に、新しい予想外の知見を得つつある。これに関する研究を今後進展させる。また、インセルNMR法の開発と応用に関する研究も引き続き進行させる。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Direct inhibition of human APOBEC3 deaminases by HIV-1 Vif independent of the proteolysis pathway2024

    • 著者名/発表者名
      Keisuke Kamba, Li Wan, Satoru Unzai, Ryo Morishita, Akifumi Takaori-Kondo, Takashi Nagata, Masato Katahira
    • 雑誌名

      Biophys. J.

      巻: 123 号: 3 ページ: 294-306

    • DOI

      10.1016/j.bpj.2023.12.015

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] Behavior of nucleic acids in living human cells as revealed by in-cell NMR2024

    • 著者名/発表者名
      Masato Katahira
    • 学会等名
      Japan-Taiwan Bilateral NMR Conference
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] NMR analysis of biomolecules for development of novel biomaterials2023

    • 著者名/発表者名
      T. Sakamoto, K. Kumagai, K. Kamba, L. Wan, T. Suzuki, Y. Sekikawa, K. Nagata, A. T.-Kondo, M. Katahira, T. Nagata, T. Sakamoto
    • 学会等名
      The 14th International Symposium of Advanced Energy Science
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [備考] 片平研究室

    • URL

      https://www.iae.kyoto-u.ac.jp/bio/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi