研究領域 | マテリアルシンバイオシスための生命物理化学 |
研究課題/領域番号 |
23H04075
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岡本 行広 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (50503918)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 相互作用 / 相互作用解析法 / 電気泳動 / 脂質膜 / 基板上脂質膜 / 粘度 / 弱い相互作用解析 / ナノドメイン |
研究開始時の研究の概要 |
細胞膜は,分子同士が弱い相互作用で形成されており,しかも分子が秩序配向性を持ち,限定された二次元平面に凝縮されている.この様な,溶液とは異なる環境での側方間の弱い分子間相互作用を定量的に解析可能な手法の確立を目的としている.
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研究実績の概要 |
細胞膜は不均一な分子分布を示し,相分離(ラフト)を呈している.このラフトは,毒素/ウィルスとの結合による疾患やシグナル伝達をはじめ,多くの生命現象に関与していると報告されている.この事から,ラフトとの親和性の違いを定量的に解析可能な手法が重要となる.そこで,ラフトとの定量的な相互作用の解析法の確立を目的とする.このため,本年度は脂質膜の物性解析法に関して研究を実施した.特に,膜の流動性(粘性)や相状態(相転移現象)は,相互作用に大きく影響する物性であるために,その解析法は重要である.また,本提案では,懸濁サンプルではなく,基板上の脂質膜を対象としている.このため基板上の脂質膜の流動性(粘性)や相状態を解析する手法を確立する必要があり,この解析法に関する研究を実施した.その結果,脂質膜を平面基板上に固定化することに成功するとともに,基板上脂質膜の粘度の解析法に成功した.また,この手法を用いて,懸濁液サンプルと基板上脂質膜の粘性の温度依存性を比較した結果,ほぼ同様の挙動を示すことを明らかにした.この結果より,平均として膜の流動性を維持して基板に固定化可能であることを見出した.また,温度と流動性の相関関係より相転移温度に関して評価した結果,懸濁サンプルと基板サンプルの相転移はほぼ同様であることを明らかとした.また,次年度以降の計画実現のため,平面膜解析用のデバイス設計を行うとともに,わずか数分子の検出を実現するために二光子顕微システムおよびSHG顕微システムを解析デバイスに組み込み,これらが使用可能であることを実証した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の想定どおりに基板上脂質膜の膜特性解析に成功しつつある.そのうえ,平面膜の分子間の相互作用解析を可能なデバイスの設計および構築,さらに顕微システムとの融合を行い,この解析システムが使用可能であることを実証している.このため,概ね,順調に進んでいると判断している.
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今後の研究の推進方策 |
相分離した平面膜での電気泳動移動度の測定ならびにモデル式の有効性の実証に取り組む.このため,昨年度までに作り上げた解析デバイスに関して,モデル膜にて検証後,想定している相分離膜の解析へと応用していく計画である.
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