研究領域 | 超秩序構造が創造する物性科学 |
研究課題/領域番号 |
23H04095
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅱ)
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
大山 研司 茨城大学, 応用理工学野, 教授 (60241569)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 局所構造 / 軽元素 / 中性子ホログラフィー / J-PARC / 原子分解能ホログラフィー / 中性子 / ドーパント / 半導体 / 超秩序構造 / 水素 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者が世界で初めて実用化した白色中性子ホログラフィーを用いて、ドーパント誘起超秩序構造での軽元素挙動や合金での超秩序構造の解明を目指す。そのためにすでに準備ずみの高分解能検出器を用いて高分解能多検出器測定系を大強度陽子加速器施設J-PARC(茨城県)に導入する。これにより観測可能なドーパントを拡大し、軽元素が関連する超秩序構造の可視化が可能になる。特にPd単結晶での水素挙動の観測とFeCo合金の超秩序構造の観測に挑戦する。本研究は世界的にも申請者のみが実現可能であり、軽元素が関連する超秩序構造を解明する最も直接的な手法であることから、世界的に見ても独自性をもつ。
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研究実績の概要 |
申請者が世界で初めて実用化した白色中性子ホログラフィーを用いて、当該研究領域「超秩序構造科学」の主要テーマであるドーパント誘起超秩序構造での軽元素挙動や合金での超秩序構造の解明を目指す。そのためにこれまで準備してきた高分解能検出器とホログラフィー実験用冷凍機を組み合わせた高分解能多検出器測定系を実装した白色中性子ホログラフィー実験を大強度陽子加速器施設J-PARC(茨城県)で実現する。これにより観測可能なドーパントを拡大し、軽元素が関連する超秩序構造の可視化を可能とする。本公募期間内では特にPd単結晶での水素挙動の観測とFeCo合金の超秩序構造の観測に挑戦する。本研究は世界的にも申請者のみが実現可能であり、機能性材料で重要な軽元素が関連する超秩序構造を解明する最も直接的な手法であることから、当該研究領域に世界的に見ても独自性を加える。当該研究領域の技術的柱である蛍光X線ホログラフィーでは困難な領域を申請者が担うことで、蛍光X線ホログラフィーと中性子ホログラフィーの相補利用が実現できることから「超秩序構造科学」を加速できるうえ、当該研究領域が目指す「世界拠点形成」と「日本のプレゼンス向上」に独自の貢献ができる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放射光での実験技術が急速に発展しており、構造物性でのほとんどの実験が放射光施設で可能になっている今、材料科学での中性子、あるいは本研究計画の重要な役割は水素とスピンの観測で、この2つは放射光施設であってもほぼ観測不可能である。令和5年度には、当初計画の目標であるPd単結晶中の水素の観測で大きな進展があった。これは、二つの意義があり、J-PARCでの中性子ホログラフィーではじめて水素を観測できたこと、信号強度が過去の成功例元素(B, Sm, Eu)などにくらべ1/100-1/1000程度に弱いPdでの観測に成功していることである。これは当初研究計画で想定された高分解能CeBr3検出器での多検出器系の構築に加え、大強度型検出器BGO型検出器での多検出器系の構築が重要であった。本研究計画は、対象となる元素を拡大することを重要な目標としており、それを達成できた。また、多検出器系の構築に関連して、スピンの観測でも進展があり、論文を出版した。それゆえ、順調に進捗していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度には、大強度型多検出器系をさらに拡張し、計画前と比べて信号強度で6倍から10倍の増強を図り、データの信頼度の大幅な向上を目指す。引き続きPdH単結晶での水素観測、および室温強磁性体FeCoでの合金系での実験を行う。平行して、当初計画には含まれていないが、これまでの本研究計画の進展の中で、磁気散乱ホログラフィーの実現の可能性も見えてきたことから、その実現、実用化にむけ、磁気デバイス開発を進め、秋以降に実機を作成、磁気ホログラフィー実験を行う。これまでの成功から、中性子ホログラフィーでのドーパント周りの局所構造研究を希望する共同研究者も増えており、安全安価な熱電材料Mg2Snや長残光蛍光体開発などのテーマにも取り組む。すでに令和6年度前期で実験に回文に相当する10日のマシンタイムを確保しており、後期でも同程度の日数を申請中である。
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