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pre-mRNAスプライシングを介した植物環境情報統合システムの解明

公募研究

研究領域不均一環境変動に対する植物のレジリエンスを支える多層的情報統御の分子機構
研究課題/領域番号 23H04191
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関東京大学

研究代表者

大谷 美沙都  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60435633)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
キーワードpre-mRNAスプライシング / 環境応答 / 形態形成 / 栄養応答 / 器官再生
研究開始時の研究の概要

植物の生育環境では、光、温度、湿度、栄養など、複数の環境因子がさまざまに変化し続けている。植物は常時これらを感知し、細胞機能を適切に調整していると考えられる。本研究では、植物はこうした環境情報を遺伝子発現転写後制御の一つであるpre-mRNAスプライシングのダイナミクスとして統合・分子情報化しているという仮説のもと、「植物におけるpre-mRNAスプライシングを介した環境情報統合システムの解明」に挑む。

研究実績の概要

本研究では、植物は複数の環境情報をスプライシングダイナミクスとして統合して分子情報化し、成長・形態形成を調節しているという仮説のもと、「植物におけるpre-mRNAスプライシングを介した環境情報統合システムの解明」に挑んでいる。
2023年度は、シロイヌナズナ芽生え (野生型およびスプライシング因子変異体) を用いた側根形成誘導系を新たにセットアップし、光合成活性阻害が側根形態に与える影響を調べた。その結果、光合成活性阻害剤処理による側根形態変化を安定して観察できる実験系の確率に成功した。この系をもとに、光合成活性阻害処理芽生えの地上部・地下部それぞれを分けたRNA-seqデータを取得し、遺伝子発現解析およびスプライシング解析を行った。その結果、光合成活性低下に伴うスプライシング変動が見出され、側根形態制御がスプライシング制御によって駆動されているという仮説が補強された。
上記に加えて、スプライシングダイナミクスがどのように成長・形態形成の制御シグナルに変換されるのかという問題について、側根原基形成とつながりが深いカルス形成の系を利用し解析を行った。植物ホルモンとの関係性を調べたところ、スプライシング変異体におけるカルス形成のサイトカイニン依存性が見いだされた。これは、サイトカイニンシグナリングとスプライシング制御の強い結びつきを示唆する興味深い結果であった。
さらに栄養応答とスプライシング制御との関わりについて解析し、ゲノム中1%以下の存在率であるマイナーイントロンと呼ばれる特殊型イントロンのスプライシングが重要な働きをしていることを新規に見いだした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初年度目標であった光合成阻害条件下での組織別RNA-seq解析を完遂し、さらにスプライシング制御とサイトカイニンとの関わりを明らかにすることができたため。

今後の研究の推進方策

今後は以下のような実験を進め、研究目的の完遂に挑む。
1. 2023年度に取得した側根形態への環境条件依存性とスプライシング制御との関連性をもとに、トランスクリプトームを比較解析すべき条件を検討し、野生型とスプライシング変異体間の比較トランスクリプトーム解析・転写開始点解析を行う。これによって、複数の環境情報はどうスプライシングに入力されそのダイナミクスに反映されるか、明らかにする。
2. 2023年度に続いて、スプライシングダイナミクスが、どのように具体的な成長・形態形成の制御シグナルに変換されるのか、とくにmRNAの配列特徴に依存した植物ホルモン制御への連結の可能性を検証する。
3. 地上から地下へと輸送され、側根形態形成を制御している分子シグナルの実体を明らかにするため、候補因子の変異体を用いた接ぎ木実験などを行い、仮説を検証する。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] Adam Mickiewicz University(ポーランド)

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] Frontiers in plant RNA research in ICAR2023: from lab to innovative agriculture2024

    • 著者名/発表者名
      Liu Ming-Jung、Fang Jhen-Cheng、Ma Ya、Chong Geeng Loo、Huang Chun-Kai、Takeuchi Ami、Takayanagi Natsu、Ohtani Misato
    • 雑誌名

      Plant Molecular Biology

      巻: 114 号: 3 ページ: 45-45

    • DOI

      10.1007/s11103-024-01436-x

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] シロイヌナズナU5 snRNPサブユニットSD5/DROL1はpre-mRNAスプライシングとジャスモン酸シグナリングを介して栄養応答を制御する2024

    • 著者名/発表者名
      石橋鴻大、荒江星拓、吉積毅、栗原志夫、黒森崇、Zofia Szweykowska-Kulinska、Artur Jarmolowski、平山隆志、松井南、大谷美沙都
    • 学会等名
      第65回日本植物生理学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 細胞増殖・分化能を制御するpre-mRNAスプライシング制御とサイトカイニン応答の相互作用2023

    • 著者名/発表者名
      竹内亜美、永宮研二、池田拓之、大林祝、杉山宗隆、大谷美沙都
    • 学会等名
      第87回日本植物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 植物の栄養依存的成長制御におけるU5 snRNPサブユニ ットDim1ホモログの役割2023

    • 著者名/発表者名
      石橋鴻大、荒江星拓、吉積毅、栗原志夫、黒森崇、松井南、大谷美沙都
    • 学会等名
      第87回日本植物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] pre-mRNA スプライシング制御を介した光合成活性による側根形態制御2023

    • 著者名/発表者名
      高柳なつ、荒江星拓、清水隆之、相田光宏、深城英弘、増田建、大谷美沙都
    • 学会等名
      第87回日本植物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 植物において光合成活性はpre-mRNAスプライシング制御を介して側根形態に反映される2023

    • 著者名/発表者名
      高柳なつ、荒江星拓、清水隆之、相田光宏、深城英弘、増田建、大谷美沙都
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 植物細胞の植物ホルモン依存的脱分化・再分化制御におけるRNAプロセシングの役割2023

    • 著者名/発表者名
      竹内亜美、荒江星拓、大谷美沙都
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] pre-mRNAプロセシング制御を介した植物の動的環境応答2023

    • 著者名/発表者名
      高柳なつ、石橋鴻大、荒江星拓、大谷美沙都
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] Cytokinin-dependent regulation of plant cell dedifferentiation via pre-mRNA splicing in Arabidopsis2023

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi A, Nagamiya K, Ikeda T, Ohbayashi I, Sugiyama M, Ohtani M
    • 学会等名
      The 33rd International Conference in Arabidopsis Research 2023 (ICAR2023)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Minor-intron splicing is required for proper HSP-mediated plant response to heat shock2023

    • 著者名/発表者名
      Kruszka K, Bielewicz D, Malinowski R, Ohtani M., Watanabe Y, Jarmolowski A, Szweykowska-Kulinska Z
    • 学会等名
      The 33rd International Conference in Arabidopsis Research 2023 (ICAR2023)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Role of pre-mRNA splicing in lateral root morphogenesis regulated by plastid signal2023

    • 著者名/発表者名
      Takayanagi N, Arae T, Shimizu T, Horiguchi G, Aida M, Fukaki H, Masuda T, Notaguchi M, Hirayama T, Ohtani M
    • 学会等名
      The 33rd International Conference in Arabidopsis Research 2023 (ICAR2023)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Minor-intron splicing is important for nutrient-dependent growth regulation in plants2023

    • 著者名/発表者名
      5.Ishibashi K, Arae T, Yoshizumi T, Kurihara Y, Kuromori T, Szweykowska-Kulinska Z, Jarmolowski A, Kruszka K, Matsui M, Ohtani M
    • 学会等名
      The 33rd International Conference in Arabidopsis Research 2023 (ICAR2023)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Plants can sense and respond to environmental stress via pre-mRNA splicing regulation2023

    • 著者名/発表者名
      Ohtani M, Takahashi H, Takayanagi N, Ishibashi K, Arae T
    • 学会等名
      The 33rd International Conference in Arabidopsis Research 2023 (ICAR2023)
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会
  • [備考] 大谷研ラボホームページ

    • URL

      https://plantfunkashiwa.jimdofree.com/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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