• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

核の柔らかさによって規定される臨界期ニューロンの遺伝子発現可塑性の解析

公募研究

研究領域脳の若返りによる生涯可塑性誘導ーiPlasticityー臨界期機構の解明と操作
研究課題/領域番号 23H04214
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関東京大学

研究代表者

岸 雄介  東京大学, 定量生命科学研究所, 准教授 (00645236)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
7,540千円 (直接経費: 5,800千円、間接経費: 1,740千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
キーワード核 / ニューロン / 臨界期 / かたさ / 老化 / 神経活動 / 視覚野
研究開始時の研究の概要

ニューロンは外部刺激に応答して、短期的にはシナプス結合の再編成を、長期的には遺伝子発現の変化を介して自身の性質を変化させていく。このニューロン可塑性は臨界期の基盤であり、特に遺伝子発現の可塑性を理解することは、それぞれのニューロンが生涯にわたって果たす役割を決定するメカニズムを理解する上で非常に重要である。
ES細胞などを用いた先行研究により、核の柔らかさは遺伝子発現の可塑性と関連することが示唆されていることから、本研究では、核の柔らかさがどのようにニューロン可塑性とそれによる臨界期に貢献するかを明らかにすることを目指す。

研究実績の概要

ニューロンは外部刺激に応答して、短期的にはシナプス結合の再編成を、長期的には遺伝子発現の変化を介して自身の性質を変化させていく。このニューロン可塑性は臨界期の基盤であり、特に遺伝子発現の可塑性を理解することは、それぞれのニューロンが生涯にわたって果たす役割を決定するメカニズムを理解する上で非常に重要である。
本研究ではまず、外界から刺激を受けたときのニューロンの核の形態変化の過程を、生体脳タイムラプスイメージング手法にて観察することを目指した。ニューロンにおいて核の形態を可視化できるマウス(Nex-Cre+/-;SUN1-GFP+/-)を作製し、2ヶ月齢の若齢大脳皮質視覚野のニューロンを観察するための顕微鏡の窓を取り付け、マウスの眼に光を当てることでニューロンの生理的な刺激を実現した。タイムラプスイメージングの実験により、2ヶ月齡の若齢マウスでは光照射後10分程度で核が徐々にへこんでいくことがわかった。また、核の形態を老齢マウスでも調べるために、上記と同様の実験を2年齢の老齢マウスでも実施した。その結果、老齢マウスではそもそも刺激を行う前からへこんだ核が多いこと、そして光照射を行なっても核の形態がほとんど変化しないことが明らかとなった。この結果から、ニューロンでも加齢に伴って核がいびつな形となり、さらに形態変化がしにくくなることが明らかとなった。さらに、核の形態変化の原因の一つとして核の剛性の変化をと考え、原子間力顕微鏡を用いて、若齢マウスあるいは老齢マウスから抽出したニューロンの核のかたさを測定した。その結果、ニューロンの核は加齢に伴ってかたくなることがわかった。
2023年度はこの成果を論文として発表した(Frey et al., Aging Cell, 2023)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

概要に示したように本年度は研究の成果を論文として発表することができた。本論文は領域内共同研究の成果でもあり。当初の計画以上に研究が進展している。

今後の研究の推進方策

2023年度に発表した成果をもとに、現在はニューロン核の形態的・物理的変化の意義やメカニズムの解明に取り組んでいる。具体的には、神経活動や神経変性疾患などニューロンの機能が変化するときに、核の形態的・物理的な性質がどのように変化するかを調べる。また、プロてオーム解析などを通じて、この変化の責任分子を同定することを目指している。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (9件) (うち招待講演 5件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Miyoshi G, Ueta Y, Yagasaki Y, Kishi Y, Fishell G, Machold RP, Miyata M2024

    • 著者名/発表者名
      Developmental trajectories of GABAergic cortical interneurons are sequentially modulated by dynamic FoxG1 expression level
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA

      巻: 121 号: 16

    • DOI

      10.1073/pnas.2317783121

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Frey T, Murakami T, Maki K, Kawaue T, Tani N, Sugai A, Nakazawa N, Ishiguro K, Adachi T, Kengaku M, Ohki K, Gotoh Y & Kishi Y2023

    • 著者名/発表者名
      Age-associated reduction of nuclear shape dynamics in excitatory neurons of the visual cortex
    • 雑誌名

      Aging Cell

      巻: 22 号: 9 ページ: 1-14

    • DOI

      10.1111/acel.13925

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] HMGA2 directly mediates chromatin condensation in association with neuronal fate regulation2023

    • 著者名/発表者名
      Kuwayama Naohiro、Kujirai Tomoya、Kishi Yusuke、Hirano Rina、Echigoya Kenta、Fang Lingyan、Watanabe Sugiko、Nakao Mitsuyoshi、Suzuki Yutaka、Ishiguro Kei-ichiro、Kurumizaka Hitoshi、Gotoh Yukiko
    • 雑誌名

      Nature Communications

      巻: 14 号: 1 ページ: 6420-6420

    • DOI

      10.1038/s41467-023-42094-9

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ALTERATIONS IN TRANSCRIPTOME AND CHROMATIN ACCESSIBILITY OF NEURONAL SUBTYPES IN AGED HIPPOCAMPUS.2024

    • 著者名/発表者名
      Merve Bilgic, Yukiko Gotoh, Yusuke Kishi
    • 学会等名
      第41回 染色体ワークショップ・第22回 核ダイナミクス研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 老齢脳における遺伝子発現の単一細胞プロファイルで明らかにするミクログリアの不均一 性2024

    • 著者名/発表者名
      菅井 彩香, Merve Bilgic, 後藤 由季子, 岸 雄介
    • 学会等名
      第41回 染色体ワークショップ・第22回 核ダイナミクス研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ニューロンにおけるエピゲノムの役割2024

    • 著者名/発表者名
      岸 雄介
    • 学会等名
      学術変革3領域(グリアデコード・臨界期生物学・適応回路センサス)合同シンポジウム「細胞多様性-回路多様性-機能多様性」
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] The role of the epigenome in neuronal aging2023

    • 著者名/発表者名
      Yusuke Kishi, Mai Saeki, YukikoGotoh
    • 学会等名
      第46回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ALTERATIONS IN TRANSCRIPTOME AND CHROMATIN ACCESSIBILITY OF NEURONAL SUBTYPES IN AGED HIPPOCAMPUS.2023

    • 著者名/発表者名
      Merve Bilgic, Yukiko Gotoh, Yusuke Kishi
    • 学会等名
      第46回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 老化脳における遺伝子発現の単一細胞プロファイルで明らかにするミクログリアの不均一性2023

    • 著者名/発表者名
      Ayaka Sugai, Merve Bilgic, Yukiko Gotoh, Yusuke Kishi
    • 学会等名
      第46回日本神経科学大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] ニューロンの老化における抑制性エピゲノム変化の解析2023

    • 著者名/発表者名
      岸 雄介, 佐伯 麻衣, Merve Bilgic, 後藤 由季子
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ニューロンにおける核ダイナミクス2023

    • 著者名/発表者名
      岸 雄介, Tanita Frey, 長田 侑, 牧 功一郎, 安達 泰治, 後藤 由季子
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 老化脳における遺伝子発現の単一細胞プロファイルで明らかにするミクログリアの不均一性2023

    • 著者名/発表者名
      菅井 彩香, Merve Bilgic, 後藤 由季子, 岸 雄介
    • 学会等名
      BioUT
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [備考] ニューロンの核は老化するとシワシワになり、かたくなる

    • URL

      https://www.iqb.u-tokyo.ac.jp/pressrelease/230725/

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi