研究領域 | 脳の若返りによる生涯可塑性誘導ーiPlasticityー臨界期機構の解明と操作 |
研究課題/領域番号 |
23H04217
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
渡部 喬光 東京大学, ニューロインテリジェンス国際研究機構, 准教授 (10710767)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
2024年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 発達障害 / 脳活動状態駆動型神経刺激法 / エネルギー地形解析 / 自閉症 / ADHD / 神経ダイナミクス / 神経刺激 / 精神神経科学 / 非侵襲的神経刺激法 / 脳波 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、神経遷移ダイナミクスという視点から見直すことで複数の発達障害を統一的に理解できる生物学基軸を発見し、それに基づく新たな動的神経刺激法を開発することを目指す。具体的にはADHD及び自閉スペクトラム症(ASD)、そしてASDとADHDの合併症例を対象とする。これらの罹患率の高い発達障害に対しても、「神経遷移ダイナミクスによる理解」と「動的神経刺激による制御」とが機能するということが示されれば、他の精神疾患に対しても同様のアプローチが有効である可能性も開けてくる。
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研究実績の概要 |
本研究は、「複数の発達障害を統一的に理解できる生物学基軸を発見すること」と、「それに基づく脳活動状態駆動型神経刺激法(Brain-state-driven neural stimulation, BDNS)を用いた治療法を開発すること」を目的としている。具体的にはADHD及びASDとADHDの合併症例を本研究の対象とする。過去の我々の研究が示唆しているように、これら罹患率の高い発達障害に対して「神経遷移ダイナミクスによる理解」と「動的神経刺激による制御」というアプローチが機能するということが示されれば、他の精神疾患に対しても同様の手法が有効であるという可能性も開けてくる。 本年度は、ADHD当事者及びASD+ADHD合併症当事者から得られた安静時脳活動データ(resting-state fMRI data)に対して、エネルギー地形解析(energy landscape analysis)というデータ駆動型解析手法を適用することで彼ら独自の大脳神経活動の遷移ダイナミクス(brain state dynamics)を同定した。結果は国際学術誌に掲載された(Watanabe & Watanabe, eNeuro, 2023)。並行して、自発的課題切替テスト、視覚意識の柔軟性を調べるためのbistable perception test、Jumping to conclusion傾向を定量化するためのbeads test、行動抑制の程度を定量化するためのstop-signal taskを、ASD当事者、ADHD当事者、ASD+ADHD合併症当事者及び定型発達者(typically developing individuals)に実施してもらい、どの心理行動実験でそれぞれのグループが定型発達者に比べてどのような行動パターンを示すのかを明らかにした。最後に、大脳神経ダイナミクスの特徴と複数の心理実験の行動パターンとを比較することで、どのような神経ダイナミクスがどのような非定型的行動に相関しているのかを同定することにも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ASD及びADHD当事者の参加者リクルートが予定よりも若干遅れているが、あらかじめ想定していた程度であり、統計処理上は問題ない。その他解析や実験は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は行動・脳画像実験を完了させる。それらのデータを解析することで、どのような脳活動ダイナミクスを神経刺激のターゲットとすれば良いのかを算出する。そのシミュレーションの結果をもとに、脳活動駆動型神経刺激装置を用いた実験を遂行する。
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