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損傷ニューロンのキューを感知した履歴を持つミクログリアによる神経再生能力の賦活化

公募研究

研究領域脳の若返りによる生涯可塑性誘導ーiPlasticityー臨界期機構の解明と操作
研究課題/領域番号 23H04229
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関名古屋大学

研究代表者

桐生 寿美子  名古屋大学, 医学系研究科, 准教授 (70311529)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
12,220千円 (直接経費: 9,400千円、間接経費: 2,820千円)
2024年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2023年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
キーワード神経損傷応答 / 神経再生 / 軸索初節(AIS) / ミクログリア / ATF3 / 神経変性 / ダメージ応答 / AIS / 運動ニューロン / 神経損傷 / ミトコンドリア
研究開始時の研究の概要

成熟運動ニューロンは神経系の中では例外的に神経損傷を受けても再生・修復可能である。神経損傷を受けた運動ニューロンは、待機状態で脳内に局在するミクログリアに積極的にキューを発進し細胞間相互作用を促すことで神経再生を進めると考えられる。本研究では神経損応答性を有するユニークな独自マウスの特性を利用し、損傷運動ニューロンからのキューを感知したミクログリアを単離・同定しこれらが神経再生プログラムをいかに賦活化するのか明らかにする。

研究実績の概要

成熟運動ニューロンは神経系の中では例外的に神経損傷を受けても再生・修復可能である。神経再生プログラムのスイッチをONにした損傷運動ニューロンは、敢えて極性を放棄し一旦未熟な状態に若返ることで潜在的な再生能力を賦活化させると考えられる。損傷を受けた運動ニューロンは成熟ニューロン特有の構造である軸索初節(AIS)を分解することを最近私たちは見出した。AISを分解することにより、損傷運動ニューロンは一時的に未熟な状態に移行し軸索変性を防ぎ再生能力を賦活化できることが明らかになった。ところがAIS同様の構成蛋白質からなるランビエ絞輪は神経損傷後も分解されなかった。AIS特異的に蛋白質分解が起こる理由として、損傷運動ニューロンからのキューに応答したミクログリアとの相互作用が関与するのではないかと考えられた。そこでまず本年度は運動ニューロンのAISとミクログリアの関係を組織学的に明らかにすることにした。そのためAIS全体像を組織学的に効率よく検出できるプロトコールを確立した。というのも運動ニューロンのAISは一定の方向性を持たずバラバラに局在するため、通常の組織切片でAIS全体像を検出できる頻度があまり高くなかったからである。これを改善したことにより、損傷早期に分解前のAISとミクログリアが相互作用することが明らかになった。次にこの時期のミクログリアを回収しトランスクリプトーム解析を進めるための条件検討を進めた。本年度は予想以上にここで時間を費やした。一方で、AIS構造が存在しないニューロンはタンパク質恒常性が破綻した神経変性疾患に対して高い耐性を持つことが明らかになってきた。これについては現在論文を投稿準備中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

成熟運動ニューロンの神経再生能力を賦活化する仕組みとして疾患という側面からも新しい研究成果を得られたため。

今後の研究の推進方策

研究成果の論文投稿を行う。またAIS分解に関与すると考えられるミクログリアとの相互作用についてはさらにそのメカニズム解明を進める。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (11件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (10件) (うち招待講演 6件)

  • [雑誌論文] Repeated cold stress, an animal model for fibromyalgia, elicits proprioceptor-induced chronic pain with microglial activation in mice2024

    • 著者名/発表者名
      Wakatsuki K, Kiryu-Seo S, Yasui M, Yokota H, Kida H, Konishi H, Kiyama H
    • 雑誌名

      J Neuroinflammation

      巻: 21 号: 1 ページ: 25-25

    • DOI

      10.1186/s12974-024-03018-6

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 繰り返し寒冷ストレス誘発性線維筋痛症モデルにおけるミクログリア除去による疼痛抑制2023

    • 著者名/発表者名
      若月康次、安井正佐也、桐生寿美子、木山博資
    • 学会等名
      日本疲労学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 組織損傷に応答してスイッチオンされる神経依存性創傷治癒2023

    • 著者名/発表者名
      桐生寿美子、木山博資
    • 学会等名
      第66回日本神経化学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 軸索初節のダイナミクスと神経再生・変性2023

    • 著者名/発表者名
      桐生寿美子、木山博資
    • 学会等名
      第46回日本神経科学会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 組織損傷を感知して作動する神経依存性組織修復メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      桐生寿美子、永田健一、榎本篤、木山博資
    • 学会等名
      第 13 回名古屋大学大学院医学系研究科・生理学研究所 合同シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 組織損傷における神経再生・変性メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      桐生寿美子
    • 学会等名
      第42回日本認知症学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ダメージ応答メカニズムに光を当てた神経再生・変性研究2023

    • 著者名/発表者名
      桐生寿美子
    • 学会等名
      生理学研究所研究会 多次元脳形態研究会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 神経損傷に応答したニューロンの若返りと神経再生能力の賦活化2023

    • 著者名/発表者名
      桐生寿美子
    • 学会等名
      学術変革 3 領域(グリアデコード・臨界期生物学・適応回路センサス)合同シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] マウス脳内でのダメージに対する緊急応答メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      桐生寿美子
    • 学会等名
      生理学研究所部門公開セミナー
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] ALS感覚ニューロンがプロテアソーム機能不全に対して耐性を示す仕組み2023

    • 著者名/発表者名
      桐生寿美子、Nguyen Thu Tra、高橋良輔、勝野雅央、木山博資
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] 繰り返し寒冷ストレス誘発性線維筋痛症モデルにおける発症機序の解析とミクログリア除去による疼痛抑制2023

    • 著者名/発表者名
      若月康次 、安井正佐也、桐生寿美子 、木山 博資
    • 学会等名
      第129回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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