研究領域 | 脳の若返りによる生涯可塑性誘導ーiPlasticityー臨界期機構の解明と操作 |
研究課題/領域番号 |
23H04243
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
深田 正紀 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (00335027)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
2024年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
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キーワード | 臨界期 / シナプス成熟 / ナノドメイン / ナノカラム |
研究開始時の研究の概要 |
臨界期のメカニズムの解明は、脳の発達や損傷後の機能回復過程を理解する上で極めて重要である。臨界期のメカニズムとしては、神経回路の再編成や興奮・抑制バランスが重要視されてきたが、発達期のシナプス成熟も重要な役割を担うと考えられる。本研究では、シナプスの機能成熟における足場蛋白質PSD-95に着目し、PSD-95を介したシナプス成熟と臨界期のメカニズムを明らかにする
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研究実績の概要 |
臨界期は“神経回路の再編成と可塑性が亢進する限られた時期”と定義され、発達期における神経回路の再編成やシナプス成熟が重要な役割を果たす。発達期の興奮性シナプスは、NMDA受容体のみを有する未成熟なシナプスから、神経活動依存的にAMPA受容体を含むシナプスへと成熟する。最近、AMPA受容体をシナプス後部で捕捉する足場蛋白質PSD-95が、眼優位性可塑性における臨界期終了に必要であることが報告された。本研究では、PSD-95の制御因子として見出した(1)パルミトイル化脂質修飾酵素と、(2)リガンド-受容体 LGI1-ADAM22を起点として、臨界期シナプスの成熟機構を明らかにする。 2023年度は、脱パルミトイル化耐性PSD-95変異体の解析を進め、動的なパルミトイル化サイクルの生理的意義について、培養神経細胞レベルの解析を中心に進めた。また、PSD-95の脱パルミトイル化酵素ABHD17の作用機序と生理機能についても解析を進め、神経発達に関与する新たな基質を複数同定した。一方、私共は焦点てんかんと神経発達症を示す患者において、ADAM22の新規バリアント(ADAM22c.2714C>T; S905F)を見出した。そしてADAM22 S905とPSD-95を含むMAGUKファミリー(PSD-95, PSD-93, SAP102)との結合が野生型ADAM22に比べて約20%程度に低下していることを見出した。つまり、ADAM22とPSD-95の結合はヒトの脳神経発達においても重要な役割を果たしていることが明らかになった(Noskova L, Fukata Yら, Brain Commun 2023)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1) 予定どおり脱パルミトイル化耐性PSD-95変異体の解析を進めた。また、PSD-95脱パルミトイル化酵素の新規基質を複数同定した。 (2) 神経発達症の患者から、PSD-95との結合能が低下したADAM22バリアントを同定した。
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今後の研究の推進方策 |
(1) PSD-95パルミトイル化サイクルによるシナプス成熟と臨界期メカニズムの解明 引き続きPSD-95のパルミトイル化サイクルを欠失した神経細胞を用いて、PSD-95パルミトイル化サイクルのシナプス機能成熟における役割を明らかにする。
(2) LGI1-ADAM22-PSD-95システムによるシナプス成熟と臨界期メカニズムの解明 PSD-95との結合が完全に破綻したADAM22変異マウス(ADAM22ΔC5)における脳神経発達を、行動学テストにより明らかにする。
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