研究領域 | マルチファセット・プロテインズ:拡大し変容するタンパク質の世界 |
研究課題/領域番号 |
23H04252
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
富田 野乃 (竹内野乃) 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (80323450)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
|
キーワード | 生体外タンパク質合成系 / リコーディング / 真核細胞 / 翻訳終結 / リードスルー / mRNA修飾 / 無細胞酵母翻訳系 / mRNA / 塩基修飾 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、申請者が確立した酵母由来再構築型生体外翻訳系を利用し、「修飾塩基シュードウリジン(Ψ)含有終止コドンのリードスルー」の分子機構を解明する。以下のi) ii)に取り組む。i) ペプチド解離因子eRF1によるΨ含有終止コドンの認識機構:eRF1の終止コドン認識とeRF1のアクセサリー因子の影響をtermi-nLuc assayを応用して解析する(Susorov, 2020, RNA)。ii) サプレッサーtRNAによるΨ含有終止コドンの認識機構:翻訳産物の質量分析により、リードスルーで取り込まれたアミノ酸を決定し、Ψ含有終止コドンのサプレッサーtRNAを同定する。
|
研究実績の概要 |
リコーディングは、終止コドンリードスルー、中途終結、フレームシフト、などの非典型的遺伝暗号解読であり、多くは翻訳終結の制御と連動している。これまで真核細胞の翻訳終結反応について、mRNAや新生ペプチド鎖の配列の影響を加味して解析できるin vitroのアッセイ系が確立されておらず、リコーディングのメカニズムはよく理解されていない。本研究では、申請者が確立した酵母由来再構築型生体外翻訳系(yPURE system)(Abe, 2020)を応用し、修飾塩基シュードウリジン(Ψ)を導入したmRNAで誘起されるリコーディング、特に「Ψ含有終止コドンのリードスルー」の分子機構を解明する。i) ペプチド解離因子eRF1によるΨ含有終止コドンの認識機構、および、ii) サプレッサーtRNAによるΨ含有終止コドンの認識機構、ついて解析を行う。本研究で得られる知見は、化学修飾を有するmRNAワクチンのデザイン、ナンセンス変異に起因する疾患に対するリードスルー薬の開発、抗ウイルス薬の開発、など広範囲の医療応用研究の基盤として重要である。 当該年度はyPURE system(Abe, 2020)を拡張させて、翻訳終結を高感度にリアルタイムに解析できるアッセイ系を確立した。さらに合成するタンパク質のC末アミノ酸配列に依存して終結効率が異なることを見出した。タンパク質のC末アミノ酸配列特異的に終結効率を制御する因子について解析を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
酵母由来再構築型生体外翻訳系であるyPURE systemを応用することにより、目的配列を有するmRNAの翻訳終結前リボソーム複合体(PreTC)を簡便・迅速に調製することが可能になった。この系を利用することで、合成するタンパク質のC末アミノ酸配列に依存して終結効率が異なることを示すことができた。今後、修飾塩基を導入したmRNAを用いた翻訳終結の解析基盤が整ったといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
終止コドン1文字目に部位特異的にシュウドウリジン修飾を導入したmRNAを調製し、終結効率を解析するとともに、リードスルーへの影響を調べる。
|