研究領域 | DNAの物性から理解するゲノムモダリティ |
研究課題/領域番号 |
23H04290
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
坂上 貴洋 青山学院大学, 理工学部, 教授 (30512959)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 液液相分離 / クロマチン / 多成分系相分離 / ゲノム高次構造 / クロマチン高次構造 / 相分離 / 多自由度 |
研究開始時の研究の概要 |
近年のHi-C法を中心とする実験技術の進歩により、細胞核内クロマチンの高次構造について多くの新知見が得られつつある。中でも、クロマチンのコンパートメント構造 -- すなわち転写活性の高いユークロマチン領域と転写の抑制されたヘテロクロマチン領域への区画化は、クロマチン構造と遺伝子発現との関連からも興味深い。物理的には、これは一種の相分離現象とみなされ、その現象再現を目指した高分子モデルのシミュレーションが複数のグループにより報告されているが、その理論的機構については不明な点が多い。本研究では、クロマチンポリマーの相分離における複数自由度性に着目し、その帰結としての相分離現象の解析を行う。
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研究実績の概要 |
細胞内の構造、機能を考える上で必要不可欠な重要な概念である液液相分離について、しばしば、単純な二成分系模型に基づいた定性的な議論がなされる。ところが、細胞内の液液相分離は多種類の生体分子が関与する本質的に多成分系であり、それ故に二成分系模型では捉えきれない多様な現象が起こりうる。そこで、本研究では、細胞内の液液相分離において、多成分系であることに由来する複数自由度性に着目し、その帰結としての相分離現象の解析を行う。本年度は、本格的に研究に取り組むための準備をし、重要な応用として、核内のクロマチン高次構造に関連するクロマチンポリマーの相分離の解析にも着手した。 まずは、最近の先行研究も参照しつつ、多成分系の相分離について起こりうる多様な相分離の様態について整理した後、具体的な解析対象としては、最も単純な多成分系への拡張としての三成分系について、Flory-Huggins理論に基づく平均場理論の解析を行い、相図を描くための方法論を整備した。 クロマチンポリマーの相分離は、近年、シミュレーションにより活発に研究されている問題であるが、その理論的記述には不明な点が多い。その理由について考察を進めた結果、クロマチンが巨大な高分子であり、その細胞核スケールでの記述には、大胆な粗視化模型が必要になることと関係していることを突き止めた。このような粗視化模型により記述される高分子混合系の相分離挙動を記述する複数自由度系の平均場理論の構築に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多成分系の相分離を解析するための手法を整備することができた。また、主要な対象であるクロマチンポリマーの相分離について、実験やシミュレーションを行っている研究者とも議論をしつつ、統計力学的なモデリングやその解析について、順調に研究を進めることができている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、細胞核内のクロマチンの相分離を記述するような基礎理論の確立を目指す。細胞核内のクロマチンのような巨大な系の有効記述(例えば、シミュレーションを行う)には、必然的に、0.1 ~1 Mbp 程度のDNA(+ヒストンなどのタンパク質)をまとめた巨大な構造をモノマーとする「超粗視 化モデル」が必要となる。このようなモデリング状況における相分離を理論的に記述するために、クロマチンポリマーのモデリングに内在する 「粗視化度合い」に注目する。ここでは、モノマー間の相互作用はモノマー内の巨大な内部自由度のエントロピー効果を反映したソフトコア型となり、通常の高分子溶液のモデルで仮定される非圧縮性の条件が成り立たなくなる。このことは、二種類のモノマー(例えば、ユークロマ チン、ヘテロクロマチン)からなる二成分系のモデルであるにもかかわらず、複数の独立変数が関与する豊かな相分離挙動が可能となることを示唆する。このような考察を基に、複数自由度系の相分離現象の基礎を確立し、そこからクロマチンポリマーの相分離の理論機構解明へとつな げる。
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