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細胞外プロテオグリカンによる植物のからだ作りの分子機構

公募研究

研究領域素材によって変わる、『体』の建築工法
研究課題/領域番号 23H04302
研究種目

学術変革領域研究(A)

配分区分補助金
審査区分 学術変革領域研究区分(Ⅲ)
研究機関埼玉大学

研究代表者

小竹 敬久  埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (20334146)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
キーワード植物細胞壁 / アラビノガラクタン-プロテイン / セルロース合成 / 細胞壁物性 / アラビノガラクタン-タンパク質 / 細胞壁 / 表層微小管 / セルロース / プロテオグリカン / 細胞壁構築
研究開始時の研究の概要

アラビノガラクタン-プロテイン(AGP)は植物で共通に見られる細胞外プロテオグリカンであるが、その分子機能は未だによくわかっていない。最近、デキサメタゾン制御下で真菌由来の糖鎖分解酵素遺伝子が発現するシロイヌナズナを作出したところ、AGPの糖鎖が破壊されるとセルロース合成が異常となり、細胞の形態が大きく乱れることがわかった。本研究ではこの植物を利用して、セルロース合成(β-1,4-グルカン合成)、セルロースの微繊維化、セルロースの配向制御におけるAGPの重要性と役割の解明を目指す。

研究実績の概要

植物細胞の形や大きさは細胞壁が決定している。強固な微繊維を形成するセルロースは細胞壁中では屋台骨のはたらきを持ち、その合成や配向が形態形成や成長制御に不可欠な役割を果たしている。本研究では、植物の細胞外プロテオグリカンであるアラビノガラクタン-プロテイン(AGP)に着目し、そのセルロース合成や沈着への関与を明らかにすることを目指している。
本研究では、真菌由来のAGPの糖鎖分解酵素遺伝子が外性のデキサメタゾンで発現誘導されるシステムを利用した。このシステムでは植物生体内でAGPの糖鎖が分解されてAGP機能が攪乱され、セルロース量が顕著に減少することがわかっている。また、細胞外のセルロースは細胞内の表層微小管に沿って合成されることが知られているが、AGPなどの細胞外分子が表層微小管の配向制御にどのように関わるのかについてはわかっていない。そこで2023年度は、微小管を可視化したシロイヌナズナにこのシステムを導入し、AGPの糖鎖の分解が植物細胞の成長と表層微小管の配向に与える影響を調べた。
AGPは植物に特有の細胞外プロテオグリカンであり、その糖鎖構造や分子機能は未だに不明な点が多い。2023年度はAGPの糖鎖構造について整理した総説(Ghosh et al., 2023, Carbohydr. Res.)を発表した。また、関連する研究についても論文発表を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、セルロース合成におけるAGPの糖鎖の機能として、(1)表層微小管の配向制御・安定性向上、(2)セルロース合成酵素活性の向上、(3)セルロースの微繊維化の促進の3つを想定している。このうち、(1)については、研究実績の概要に記載した通り、AGPの関与を示唆する興味深い結果が得られている。(2)については、セルロース合成酵素複合体を可視化してその移動速度を評価する必要があり、難航している。そこで、AGP糖鎖に特異的に結合するYariv試薬で処理した際のシロイヌナズナ芽生えのセルロース合成量を評価する実験に切り替えて実験を進めている。(3)についても、Yariv試薬を利用した実験を進めており、Yariv試薬処理により、非結晶性のセルロースの増加を調べている。結晶性セルロースには作用しないセルラーゼを利用することで、非結晶性のセルロースをオリゴ糖に分解し、HPLCで定量できることを確かめている。
次年度では、表層微小管を可視化したシロイヌナズナを利用して、AGPの糖鎖機能攪乱が成長時の細胞伸長と表層微小管の配向に与える影響を調べる。また、Yariv試薬を利用して、AGPの機能阻害がセルロースの量や微繊維化に与える影響も調べる予定である。

今後の研究の推進方策

植物のプロテオグリカンと言われるAGPは、ヒドロキシプロリンが豊富なコアタンパク質に、大きなアラビノガラクタン(AG)糖鎖が結合している。動物のコンドロイチン硫酸やヘパラン硫酸とは、タンパク質部分、糖鎖部分ともに構造は全く異なるが、細胞外分子であること、コアタンパク質に巨大な糖鎖が結合すること、負電荷を帯びた糖残基が多いことなど、類似点が多い。本研究では特にAG糖鎖の役割に着目している。すでに、シロイヌナズナの生体内でAG糖鎖の分解を起こすと組織形態が著しく乱れることやセルロース量が顕著に減少することがわかっているため、本研究では「どのようにAGPがセルロース合成・沈着に関わるか」について特に焦点を当てる。
当初の計画では、セルロース合成酵素の触媒サブユニットであるCslAを蛍光タンパク質で可視化した植物でAGPの糖鎖分解を起こし、CslAの移動速度や方向の変化を調べる予定であったが、この実験が容易ではないことが判明したため、2024年度の研究計画ではAGPに特異的な阻害剤であるYariv試薬を用いることとした。

報告書

(1件)
  • 2023 実績報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 植物におけるUDP-糖代謝とGDP-糖代謝の棲み分け2024

    • 著者名/発表者名
      Kotake Toshihisa、Takahashi Daisuke
    • 雑誌名

      Trends in Glycoscience and Glycotechnology

      巻: 36 号: 209 ページ: J6-J11

    • DOI

      10.4052/tigg.2303.1J

    • ISSN
      0915-7352, 1883-2113
    • 年月日
      2024-01-25
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Plant type II arabinogalactan: Structural features and modification to increase functionality2023

    • 著者名/発表者名
      Ghosh Kanika、Takahashi Daisuke、Kotake Toshihisa
    • 雑誌名

      Carbohydrate Research

      巻: 529 ページ: 108828-108828

    • DOI

      10.1016/j.carres.2023.108828

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] 植物のL-アラビノース合成系を担う酵素2023

    • 著者名/発表者名
      小竹敬久, 梅澤輝, 松本真由子,半田寛斗, 宮川萌, 高橋大輔, 伏信進矢
    • 学会等名
      日本応用糖質科学会2023年度大会
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [学会発表] Distribution of UDP-glucose 4-epimerases with UDP-xylose 4-epimerase activity in plants2023

    • 著者名/発表者名
      Hiroto Handa, Mayuko Matsumoto, Megumi Miyagawa, Daisuke Takahashi, Shinya Fushinobu, Toshihis
    • 学会等名
      Taiwan-Japan Plant Biology 2023
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
    • 国際学会

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公開日: 2023-04-13   更新日: 2024-12-25  

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