研究領域 | 素材によって変わる、『体』の建築工法 |
研究課題/領域番号 |
23H04319
|
研究種目 |
学術変革領域研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅲ)
|
研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
津守 不二夫 九州大学, 工学研究院, 教授 (10343237)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
12,740千円 (直接経費: 9,800千円、間接経費: 2,940千円)
2024年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
|
キーワード | 発泡材料 / ゲル / ソフトロボティクス / 展開構造 / 生体模倣 |
研究開始時の研究の概要 |
生体は細胞の分裂および成長により必要箇所の体積を増大させながら最終的な「かたち」を作り上げる.このような局所成長をものづくりプロセスに直接取り入れる.基本とする素材は,ゴムやゲルといった柔軟材料に低沸点液体材料を微細な液泡として分散させたものである.この材料に機能粒子も同時に分散させ,部材各所への自在な加熱システムと組み合わせることで,同一の温度履歴において成長履歴の異なる要素材料が自在に設計できる.多様な成長バリエーションの要素材料をレゴブロックのように組み合わせることで,構造の全体変形を,その成長履歴まで制御しながらプログラミングすることを狙う.
|
研究実績の概要 |
体積膨張を実現し,キヌガサダケのような展開構造を実現することが本研究のひとつの目的である.同時に他の生物にも同様の技術が適用できないか検討を開始した.ひとつはオタマボヤのハウス構造である.また,甲虫翅の折り畳み展開についても同材料を応用することを検討している.新たな対象は領域内において情報交換・共有可能であり検討を深めていきたい. 実際に扱う材料としては,低沸点液体材料を液泡として内包したゲル材料を開発した.PAAmゲル内を合成する際にゲルの生成熱により内包した液が気化する問題を避けるために,プロセスの改良を続けた.また,この材料とはまったく別に大きく異方性に膨潤するゲル材料を発見し予備実験を重ねている.得られた両者のゲル材料は大きく体積変化が可能である.体積変化を異なる小要素としてのゲルを複数作製し,結合することで多様な変形をもたらすことが可能となる.単純なシート状の材料を2枚接着することにより温度変化で大きく曲げ変形する構造を試作した.大きく変形するゲルを安定して接着させる技術が確立すればさまざまな駆動構造へと応用が可能となる.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の中心となるゲル材料は想定通りに開発が進んでいる.同時に全く新しい膨潤機構を有するゲル材料の開発も成功した.これらを組み合わせることで想定以上の変形バリエーションを実現できる可能性がある. 3Dプリントについては今年度からの試行となる.別プロジェクトで開発中のディスペンサタイプのプリンタを用いる予定である.装填する材料は異なるものの制御系等のシステムは完成したものを用いることができるためプリントに関する実験も円滑に開始することができる. また,当初提案したキヌガサダケの模倣にとどまらず,オタマボヤのハウス構造といった新たな生体対象にも適用を検討している. これらの理由から当初の計画以上に進呈していると判断している.
|
今後の研究の推進方策 |
ゲル材料の開発を引き続き進める.液泡分散ゲルについては一定の成果が見られたため,今後は新たな異方性膨潤ゲル材料の利用を中心に研究を進める予定である. 同時に生体の観察も進める.キヌガサダケは代表者の所属する九州大学伊都キャンパス内においても観察される.オタマボヤや甲虫についてもキャンパス近辺で採取可能であり,展開機構についての知見も深める計画である. これらの材料開発および生体観察を経て,生体模倣工学分野にゲル材料を応用する手法を確立していきたい.
|