研究領域 | 実世界の奥深い質感情報の分析と生成 |
研究課題/領域番号 |
23H04333
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伴 祐樹 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 特任講師 (20789391)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 毛並み触感 / Cross-modal / パラメトリックスピーカー / Virtual Reality / パラメトリックスピーカ / Pseudo-haptics / Pseudo-Haptics |
研究開始時の研究の概要 |
猫等の動物の毛並みを撫でたいという需要はリラクゼーション等の観点から多く,毛並みを撫でる感覚を提示する研究が進められてきた.しかしこれらの研究では,実際の毛をアクチュエータによって動かすことで感覚情報を提示しており,提示システムが長大・複雑化しやすい.そこで本研究では,毛並み感を構成する微小かつ微細な圧覚をパラメトリックスピーカを用いた視触覚クロスモーダル効果により提示する手法を提案する.手の動きに応じて毛並みをシミュレートして視覚提示し,それに応じた微小な圧力を実際に毛並みを撫でた際の計測値を基に提示することで,毛皮に触れている感覚を提示できるかを明らかにする.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,視触覚のクロスモーダルな感覚情報提示によって,実際の毛皮や毛を用いることなく毛並みを撫でるVR体験を実現することにある. 本年度はまず,代替的に提示する触覚情報としてどのようなものが適切かを検討するために,毛並みを撫でた際に手にかかる力の変化と毛並みの形状変化を計測するシステムを実装した.微小な力変化まで計測可能なピエゾフィルム(PVDF)を手を模した人工皮膚に調布し,それをスライダで動かすことによって,毛皮を撫でた際に生じる力変化を計測した. 触覚情報としては,微小な圧力を非接触で提示することのできるパラメトリックスピーカを用いて,計測した力の変化や粗さを提示する手法を実装した.力の変化についてはスピーカの出力強度によって調整し,粗さについては提示する周波数を調整することで提示した.視覚刺激については,梁の大変形モデルをベースとし,計測結果を近似する毛並みモデルを構築した.このモデルでは,毛並みに逆らって撫でた際の毛並みの逆立ちを再現することができる. 視覚情報の提示にはHead Mounted Displayを用い,実際にパラメトリックスピーカに対して手をかざしている位置 にバーチャルな毛皮を設置する.距離カメラの情報から推定した手の姿勢を元にバーチャルハンドを提示し,触り方に応じて表示する毛並みを変化させた. 予備実験の結果,構築した視触覚刺激により,毛並みを撫でた感覚を提示できる可能性が示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は当初の計画通り,毛並みを撫でた際の視触覚情報を計測するシステムを実装し,それを用いた計測結果を元に視触覚毛並みモデルを構築した.実験参加者を募った予備実験の結果,構築した視触覚刺激により,毛並みを撫でた感覚を提示できる可能性が示唆され,次年度につながる知見が得られた. そのため,研究は当初の計画通り概ね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
構築した毛並み計測システムを用いて,毛足の長さや,硬さ,毛の密度など様々なパラメータを持つ毛並みを撫でた際の視触覚情報を計測し,それらの違いを毛並みモデルにより提示できるかを検証する.現状のモデルでは特に硬い毛に対しては提示が難しい可能性があるため,実際の毛並みの挙動を観察したのち,モデルの更新を実施する予定である. 加えて,本手法により提示した毛並みによって,実際の毛並みを撫でた際に生じるような情動変化が起きるか,発汗等の生理指標と質問紙による主観指標によって明らかにする.
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