研究領域 | 実世界の奥深い質感情報の分析と生成 |
研究課題/領域番号 |
23H04363
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
鮫島 和行 玉川大学, 脳科学研究所, 教授 (30395131)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,800千円 (直接経費: 6,000千円、間接経費: 1,800千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 価値情報 / 情報抽出 / 強化学習 / 意思決定 / ニホンザル |
研究開始時の研究の概要 |
多次元の感覚情報の中から、意思決定に重要な価値に必要な情報を抽出する能力は、自然環境での生存に重要な能力である。この様な情報抽出は、価値から行動決定までの変換過程である。本研究では、多次元の感覚情報から価値の基底をなす関数を大脳皮質と大脳基底核の神経回路で統計的に抽出する、という新しい仮説をたて、その計算論的仮説を検証するための、行動学的、神経生理的にあきらかにする実験を実施することにより、質感から価値への効率的な変換の神経メカニズムの解明にアプローチする。多次元の質感情報から低次元の情報のみに価値が連合する課題を学習中の大脳皮質、大脳基底核の情報表現を探索し、明らかにすることでこの謎に迫る。
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研究実績の概要 |
本研究では、大脳皮質-大脳基底核の情報表現についての新しい仮説を実験と理論の両面から提案することを目的とする。仮説とは、「線条体は特定の行動選択肢に対する価値情報をコードするのではなく、価値関数や方策に必要とされる基底関数を学習する」というものである。そのために、多様な感覚入力から構成される質感空間や選択肢空間の中で文脈に応じて選択肢を変化させる必要のある課題をマカクザルに訓練し線条体と前頭前野の情報表現の違いについて検討する。この課題における、行動空間や報酬予測空間の情報表現が大脳基底核の線条体および主に外側前頭前野、運動前野前部に存在するかどうかを、多点同時記録によって検証し、柔軟な文脈情報に基づく多様な選択肢からの意思決定のメカニズムを検討する。 (1)過去に実験した、色と形に報酬の量を関連づけて意思決定を行わせた課題での行動分析および神経活動の解析を、モデルベースでの解析方法について検討を行なった。現在、多次元の情報が線条体に分離してコードされているのか、多重にコードされているのかについての検討を行い論文発表準備中である。 (2)記憶課題中の大脳皮質前頭前野の活動を記録しながら、単一ニューロンの活動を視覚的にフィードバックし、その活動を変化させるBMI実験で、前頭前野の活動が変化可能であること、変化させることによる課題への影響を解析し、bioAxiv論文としてまとめた。このデータに対してのネットワークモデルを提案し、その動作と神経活動とを比較検討を行なった。価値や記憶に関わる神経細胞を上昇させるにしたがって課題のパフォーマンスが落ちる原因について検討中であり、こちらも論文発表準備中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しい動物を使って訓練を行っている最中であるが、過去のデータに対しての一定の解析を進めることができた。また、前頭前野の活動に関する新たな知見を得ることができ、アーカイブ論文として投稿した。残りの1年で大脳基底核に関する新たなデータを取得するとともに、最終年度の仕上げとして論文発表を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
前頭前野と線条体の機能の比較をおこなうために、両者を同時、または同じ課題を用いて記録することを計画中である。すでに本年度の初めに大脳皮質にUtah arrayを埋め込む手術を計画し、その動物での訓練を学習の結果を得る予定である。また、大脳基底核の線条体に新たなマルチ電極を用いた実験を開始する。これまで同様、多様な状況における感覚刺激に応じた意思決定関連の活動データを取得するとともに、リカレントニューラルネットなどを用いたシミュレーション研究を進める予定である。
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