研究領域 | 分子サイバネティクス ー化学の力によるミニマル人工脳の構築 |
研究課題/領域番号 |
23H04418
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松永 大樹 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 准教授 (40833794)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | 分子ロボット / ストークス流れ / リポソーム / 強化学習 / 最適運動 |
研究開始時の研究の概要 |
リポソームやDNAオリガミの構造物など微小物体は遅い流れの流体力学に支配され『帆立貝定理』の制約を受ける.自然界では巧みにこの制約を掻い潜り小さなスケールで遊泳や物質輸送の仕事を達成するが,マイクロスケールの人工物の形状変化によってこれらの目標を達成するのは容易ではなく解は自明ではない.本研究課題では強化学習と流体解析を組み合わせて基盤より,与えられた構造・条件の下での最適遊泳を明らかにするだけでなく,理論・数値計算を組み合わせ最適遊泳の普遍的な理論の構築を目指す.
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研究実績の概要 |
本年度に行った2つの研究について概説する. 1つ目の研究課題は「三角形型分子ロボットの最適遊泳戦略の解析」である.学術変革の領域でも精力的に推進されているようにナノ・ミクロンスケールの分子ロボットの実現が期待されている.これら分子ロボットの基本的な動力学を理解するため,本研究はプリミティブな構造として三角形型分子ロボットをモデルとして最速で動くことのできるアクチュエータの動作パターンを分析した.三角形は三つの微小球とそれらを繋ぐ三つのアクチュエータにより構成されているが,腕に相当する二つの微小球の動きが同期する動きと,逆位相で動く2つの異なる動きが最速の泳ぎの候補となることを明らかにするとともに,この二つの動きは設定した無次元数に依存してどちらが有利かが変化することを明らかにした.また微生物の体を模して微小球の一つの半径を大きくした場合,二つの腕が同期する動きが広いパラメータ空間で有利になることがわかった. 2つ目の研究課題は「リポソーム移動現象の流体力学的解析」である.学術変革領域内の共同研究先ではリポソーム内に含まれるアクチュエータに起因する膜変形によりリポソームが液中を遊泳することを明らかにしたが,本研究ではその遊泳速度を説明する因子を流体力学的観点により解析を実施した.変形するリポソームを画像解析することにより変形の特徴量を取得し遊泳速度との相関を分析したところ,リポソームの一部分が突出する無次元の突出量に依存してほぼ線形に遊泳速度が大きくなることを明らかにした.以上の発見は,リポソームが液中を泳ぐ上での基本的な戦略を構築するために重要な知見である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績の概要に示した2つの成果は現在,国際学術誌に投稿する準備をしており初年度の成果として十分な成果を上げることができたと考える.また上記に示した成果だけでなく,鞭打ち駆動で遊泳する微小遊泳体や繊毛の流体駆動に関して強化学習を用いた最適運動の分析を行うなど多くの研究を推進しており,順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
研究実績に示した1つ目の研究成果については,次年度は理論解析を用いて最適遊泳モード変化を説明することを計画している.数値計算により微小球のサイズに依存して最適遊泳モードが変化することはわかったが,直感的にその現象を説明することができていないため,理論解析を用いての説明を目指す. 二つ目の研究に関しても同様に,理論解析・数値解析を通した速度の説明因子の解明に挑戦する.ここまでの研究で速度を説明する因子を同定することができたものの,相関だけでなく物理的な詳細な因果を明らかにするため理論解析を中心に分析を進めることを計画している.
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