研究領域 | 分子サイバネティクス ー化学の力によるミニマル人工脳の構築 |
研究課題/領域番号 |
23H04423
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研究種目 |
学術変革領域研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
学術変革領域研究区分(Ⅳ)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
千住 洋介 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 研究准教授 (90536848)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
10,400千円 (直接経費: 8,000千円、間接経費: 2,400千円)
2024年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2023年度: 5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
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キーワード | リポソーム / ボトムアップ・アプローチ / 自己組織化 / コンパートメンタリゼーション / 合成生物学 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞は、細胞膜によって外界と区画されることで生命の基本単位として定義される。細胞膜の形状や張力の変化は、シナプス形成、がん細胞の浸潤・転移などに見られる細胞運動、貪食などの基本的な生理機能に伴う必須のメカニズムである。細胞膜は、イノシトールリン脂質などの脂質分子によって動的で流動性のある二重層を構成し、細胞膜の形態は細胞骨格によって支えられている。したがって、細胞膜と細胞骨格の協調によって細胞の形態は形成される。本研究では、(1) 細胞膜ダイナミクスを定義する分子基盤を同定し、(2) 機能発現を解明し、(3) 合成生物学/構成生物学的手法を用いて動的高次構造体を脂質膜上に再構成し操作する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的 細胞は、細胞膜によって外界と区画されることで生命の基本単位として定義される。細胞膜の形状や張力の変化は、シナプス形成、がん細胞の浸潤・転移などに見られる細胞運動、貪食などの基本的な生理機能に伴う必須のメカニズムである。細胞膜は、イノシトールリン脂質などの脂質分子によって動的で流動性のある二重層を構成し、細胞膜の形態は細胞骨格によって支えられている。したがって、細胞膜と細胞骨格の協調によって細胞の形態は形成される。本研究では、(1) 細胞膜ダイナミクスを定義する分子基盤を同定し、(2) 機能発現を解明し、(3) 合成生物学/構成生物学的手法を用いて動的高次構造体を脂質膜上に再構成し操作する。そこで、細胞膜ダイナミクスの普遍的メカニズムを解明する鍵となる、BARドメイン・アクチン細胞骨格などの機能を解明する。そして、細胞膜の形態変化を起点とするシグナル伝達機構や、イノシトールリン脂質によるアクチン細胞骨格の再編を脂質膜上に再構成し操作する。 研究の成果 BARドメイン・アクチン調節タンパク質をGFPなどの蛍光色素で標識し、培養細胞に発現させて共焦点顕微鏡で観察することで、イノシトールリン脂質を含んだ細胞膜に結合して変形させるか明らかにした。また、BARドメイン・アクチン調節タンパク質のアミノ酸配列から細胞膜に結合するペプチドを同定した。 今後の研究の展開に関する計画 精製したBARドメイン・アクチン調節タンパク質や同定したペプチドをGFPやAlexa488などの蛍光色素で標識し、細胞と同程度の大きさを持つGUVに作用させることで、イノシトールリン脂質を含んだ脂質膜に結合し変形するか明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
BARドメイン・アクチン調節タンパク質をGFPなどの蛍光色素で標識し、培養細胞に発現させて共焦点顕微鏡で観察することで、イノシトールリン脂質を含んだ細胞膜に結合して変形させるか明らかにした。また、BARドメイン・アクチン調節タンパク質のアミノ酸配列から細胞膜に結合するペプチドを同定した。
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今後の研究の推進方策 |
ボトムアップ・アプローチなどの生物物理学・合成生物学/構成生物学的手法を用い、細胞膜の曲率、張力、相分離や流動性などの膜物性、アクチンの重合/脱重合ダイナミクスの立体構造に基づいた動作機構や結合解離の仕組みを理解する。 巨大脂質膜リポソーム (GUV: Giant Unilamellar Vesicle) は、生体膜を単純化した細胞サイズ (>直径1 μm) のリポソームで、細胞膜の形態変化などのダイナミクスや相分離などを光学顕微鏡で観察できる、細胞の構造や機能を模倣し再構成するための生体膜のモデルとして最適である。精製したBARドメイン・アクチン調節タンパク質や同定したペプチドをGFPやAlexa488などの蛍光色素で標識し、細胞と同程度の大きさを持つGUVに作用させることで、イノシトールリン脂質を含んだ脂質膜に結合し変形するか明らかにする。また、イノシトールリン脂質を脂質膜上でクラスターするか着目する。 結合が確認されたアクチン調節タンパク質に関しては、イノシトールリン脂質を含むGUV上でアクチン重合を再構成する。そして、シグナリングプラットフォームとなり得るマイクロドメインや相分離をGUV上で形成するか、超解像顕微鏡などを用いて高時空間分解能で明らかにする。
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